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160キロ右腕にセンバツVの大砲も…
夏の甲子園に届かなかった逸材たち

 7月30日に全49地区の代表校が出そろった、高校野球の地方大会。世代屈指の右腕・奥川恭伸(石川・星稜)は苦しみながらも4季連続となる甲子園出場を決めたが、それ以外の有力選手は多くが地方大会で敗退した。

佐々木の160キロは全力ではない?

今夏最大の注目を集めた大船渡・佐々木。甲子園出場はあと一歩で逃すも、そのピッチングは強烈なインパクトを残した
今夏最大の注目を集めた大船渡・佐々木。甲子園出場はあと一歩で逃すも、そのピッチングは強烈なインパクトを残した【写真は共同】

 最も大きな話題となったのはやはり佐々木朗希(岩手・大船渡)だろう。


 準決勝まで4試合に先発。29回を投げてわずか2失点、51奪三振、防御率0.62という圧巻の数字を残しながらも、花巻東との決勝戦は登板を回避。打者としてグラウンドに立つこともなく、高校野球生活を終えた。


 惜しくも大舞台での登板はかなわなかったものの、この夏の佐々木のピッチングは“令和の怪物”の名にふさわしいものだった。連戦と夏の暑さを考えて、力を抑えながらのピッチングが多かったものの、ストレートはわずかに力を入れるだけで150キロ以上をマーク。4回戦の盛岡四戦では、今大会最速の160キロを計測したボールを現地で見たが、まだまだ全力投球という感じはせず、8割〜9割程度の腕の振りのように見えた。ここまで脱力しながら全力で腕を振らずに速いボールを投げられる投手は、プロにもほぼいないだろう。


 打者の手元で鋭く大きく変化するスライダー、140キロ以上のスピードで落差のあるフォークも一級品。しっかりと登板間隔を空けて、万全の状態で投げることができれば、高校生ではまず打てないレベルの投手である。将来のことを考えると無理な起用は控えてもらいたいが、甲子園の後に招集される可能性の高いU18侍ジャパンでどんなピッチングを見せてくれるのか、注目したい。

西と及川の対照的なラストサマー

昨夏の甲子園ではガッツポーズが話題となった創志学園・西だが、今夏は安定感が大きくアップ
昨夏の甲子園ではガッツポーズが話題となった創志学園・西だが、今夏は安定感が大きくアップ【写真:山陽新聞/共同通信イメージズ】

 佐々木、奥川とともに注目を集めた西純矢(岡山・創志学園)、及川雅貴(神奈川・横浜)も地方大会の決勝にたどり着く前に姿を消したが、その成長度は対照的なものだった。


 西は昨夏の甲子園で過剰なガッツポーズを審判から注意され、秋の中国大会でも終盤に大きく崩れてコールド負けを喫するなど、精神的なムラが課題だったが、この春から夏にかけて安定感が大きくアップ。初戦では降りしきる雨で序盤に制球を乱しながら、試合途中で見事に修正。敗れた準決勝の倉敷商戦でも10安打を浴びながら2失点完投と、試合をまとめてみせたのだ。毎試合150キロ前後をマークするストレートの迫力は高校生離れしており、ストレートと同じ軌道から鋭く変化するスライダーも見事というほかない。


 一方の及川も5回戦では149キロをマークしたが、敗れた準々決勝の県相模原戦では決め球のスライダーを完璧に狙い打たれ、ここぞという場面での勝負弱さを最後まで払しょくできなかった。ポテンシャルの高さは誰もが認めるところだが、良いボールとそうでないボールの差が大きく、佐々木、奥川、西の3人に比べると、現状における完成度の差は大きい印象だ。

西尾典文
西尾典文

1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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