強打の遊撃手、クローザー、新助っ人…データで導くセ・リーグ後半戦キーマン

データスタジアム株式会社
 両リーグで大型連敗が頻発するなど、さまざまなトピックが生まれた2019年前半戦だったが、オールスターブレークは心機一転して後半戦に臨むいい機会だ。

 各球団の前半戦のデータをもとに、後半戦のキーマンと目される選手をそれぞれ1名ずつピックアップして紹介したい。今回はセ・リーグ編。

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セ・リーグ首位を独走する巨人。押しも押されぬ中心選手・坂本の働きが、後半戦もチームに大きな影響を及ぼす 【写真は共同】

※データは2019年7月11日現在
※紹介順は前半戦終了時の順位に基づく

巨人(1位):坂本勇人の一挙手一投足に注目

【データ提供:データスタジアム】

 現在リーグの貯金を独り占めにするなど、独走状態を築きつつある巨人。2年連続でリーグMVPに輝いている新戦力の丸佳浩は、チームへの貢献度を測る総合指標「WAR」でチームトップ。3番打者として、そして中堅手としてここまで期待通りの活躍を見せている。

 そんな丸と2番打者としてコンビを組む坂本勇人は、キャリアハイのペースで本塁打(25本塁打、横浜DeNA・ソトと1位タイ)を積み重ねて丸に次ぐチーム2位のWARを記録。遊撃手としては破格の打棒を発揮しており、1984年の中日・宇野勝(37本塁打、阪神・掛布雅之とタイ)以来となる遊撃手の本塁打王のタイトルも視野に入れている。

 バットで鮮烈な活躍を見せている一方で、やや気になるのがこれまで高い評価を得ていた守備面。守備指標「UZR」で例年トップクラスの数字を残してきた坂本だが、今季はリーグの平均レベルの数字となっており、プラスを生み出せていない。

 このまま打力優位型の遊撃手となるのか、それとも守備面での貢献も持ち直していくのか。チームへの影響力が大きい選手だけに、後半戦のプレーに注目が集まる。

DeNA(2位タイ):山崎康晃は夏を乗り越えられるか

【データ提供:データスタジアム】

 一時は10連敗を喫して最下位に沈んだDeNAだったが、徐々に持ち直して少しずつ借金を返済し、前半戦を2位タイで折り返した。

 史上15人目となる通算150セーブにあと1と迫る守護神・山崎康晃までつなぐのが必勝パターンで、山崎は今季もリーグ2位の16セーブ、防御率1.20とチームの勝利に貢献している。セ・パを問わず各球団の抑え投手の不振が目立つ中で、そのクローザーとしての安定感は、他球団に対して大きなアドバンテージになるだろう。

 入団以来5年間にわたってクローザーとして結果を残し続けている山崎だが、ひとつの懸念として夏場にセーブ成功率を落とす傾向が挙げられる。特に暑い8月はセーブ成功率が期間ワーストの84.6%。2016年、17年、18年と3年連続でセーブ失敗を経験しており、鬼門となっている。

 今季は入団以来初めてカットボールを実戦で投じるなど、変化をいとわない姿勢を見せている。欠かすことのできない必勝リレーの主役として、背番号19が勝負の夏のマウンドに向かう。

阪神(2位タイ):救世主ソラーテに期待

【データ提供:データスタジアム】

 かねてより叫ばれていたチームの長打力不足を補う存在として今季から加わったマルテだったが、調整遅れの影響などもあってここまで7本塁打とやや物足りない活躍。長打率から打率を引いた「ISO」という指標では、チーム全体で今季リーグワーストの.114となっていて、前半戦のうちに課題を解消することはかなわなかった。広い甲子園球場は投手への恩恵が大きく、打者の前に大きな壁となって立ちはだかっている。

阪神に新たに加入するソラーテ。今季はMLB・ジャイアンツでプレーしていた 【Getty Images】

 この現状を打開すべく、フロントは米国に新戦力を求めた。ヤンキースなどでプレーした両打ちのヤンハービス・ソラーテは、MLB通算で75本塁打の強打者。14年から5年連続で2ケタ本塁打を記録するなど、32歳という年齢もあわせて期待値は大きい。二塁や三塁を中心に内外野複数のポジションを守れるマルチプレーヤーであり、起用の融通が利くのもベンチにとってはありがたい。

 外国人選手は投手陣のガルシア、ジョンソン、ドリス、野手はマルテが主に1軍でプレー。ソラーテがチームに加わると、序列的にマルテが2軍へ押し出される確率が高い。危機感をあおられたマルテが打ち出すようだと、外国人枠の争いが面白くなりそうだ。

<次ページは広島、中日、ヤクルトの後半戦キーマン>

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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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