強打の遊撃手、クローザー、新助っ人…データで導くセ・リーグ後半戦キーマン

データスタジアム株式会社

広島(4位):復調が待たれるバティスタ

【データ提供:データスタジアム】

 今季はジェットコースターのように好不調が入れ替わる、出入りの激しい戦いを続けている広島。オールスター直前まで11連敗を喫するなど不調の只中にあり、3連覇中のチームがこれまで味わったことのない苦境に立たされている。

 4番の鈴木誠也はリーグ全体で2位のWAR4.9を残すなど孤軍奮闘を続けているが、前後を打つ打者が振るわず打線を分断される格好となっている。せめて3番か5番のどちらかだけでも、鈴木と相乗効果を高められる打者を配置したいところだ。

広島はバティスタの復調が上位浮上に不可欠だ 【写真は共同】

 20勝4敗1分のチーム成績を残した5月は、バティスタが3番打者として鈴木とタッグを組み、この月だけで10本塁打を量産した。6月に入ると調子を落としたバティスタに代わって西川が3番を務めたが、好調時のバティスタほどの打力を見せられず。チームは徐々に得点力不足に陥っていった。

 バティスタは7月に外国人枠の関係もあって2軍への配置転換となったが、代わりに昇格したメヒアは2軍で見せていた長打力(19本塁打)を発揮できていない。5月のような快進撃を再現するべく、バティスタの復調が待たれる。

中日(5位):平田良介が健康に過ごせるか否か

【データ提供:データスタジアム】

 前半戦を借金6の5位で終えた中日。現在首位打者の高橋周平やリーグ最多タイの9勝を挙げている柳裕也など明るい材料もあるが、7年ぶりとなるBクラス脱出までの道のりは平たんではない。

 後半戦のキーマンとして期待したいのは平田良介。前半戦のチームWARランキングで高橋に次ぐ2位を記録しているが、5月から6月にかけて約1カ月の離脱があったことを踏まえると、非常に高い貢献を見せている。

 平田のプレーヤーとしての価値は、打率.308、OPS.847の打力もさることながら、外野手としての守備能力の高さとの両立にある。今季のUZRで9.7をマークし、これはリーグの右翼手(守備イニング100以上)の中で最も優秀だった。広い守備範囲に加えて、正確かつ素早いスローイングはチームへの貢献度が高く、たとえバットで快音が響かなくても守りでチームを助けられている。

 プロ14年目を迎えてベテランの域に入り、近年は故障による離脱も増加傾向。平田が健康に過ごせるかどうかで、後半戦の中日の戦いぶりは変わるだろう。

ヤクルト(6位):小川泰弘に求められるもの

【データ提供:データスタジアム】

 5月14日の広島戦から記録的な16連敗を喫してしまった東京ヤクルトだが、今季は特に先発陣の状態が安定しない。

 セ・リーグの各球団の先発防御率がおおむね3点台となっている中で、ヤクルトは5.13と著しく悪い。ブレーク中の村上宗隆や“ミスタートリプルスリー”の山田哲人、ベテランの青木宣親などを擁する破壊力抜群の打線をもってしてもカバーしきれない前半戦だった。

投手陣が崩壊気味のヤクルト。ここはエース右腕の小川にチームをけん引してもらいたい 【写真は共同】

 前半戦でチーム最多の91回2/3を投げた小川泰弘は、3勝8敗の防御率4.71とエースとしての期待に応えられたとは言い難い。特に4月や5月には大量失点を繰り返し、試合を壊してしまう場面も少なくなかった。ただ交流戦に入ってから投球に改善の兆しが見られ、5月までの防御率5.37に対し、6月以降は3.34まで数字が良化。1試合あたり1.5本浴びていた被本塁打を0.3本に抑えることができていて、大量失点のリスクを下げることに成功した。

 先発陣さえ安定すれば、持ち前の打力が生きて、勝利をつかむ確率は確実に上がる。投手陣のリーダーとして、小川は模範となる投球を見せることができるか。

(文:データスタジアム株式会社 野球アナリスト 佐々木浩哉)

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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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