連載:左サイドスローの美学

なぜ左打者は「左横手」攻略が難しいのか 平成唯一の三冠王・松中信彦が語る

加来慶祐
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名だたる左サイド投手と対戦してきた松中信彦氏が、打者目線で左サイドスローの特徴を語ってくれた 【写真は共同】

 2004年に平成唯一の三冠王に輝いた松中信彦(元ソフトバンク)。日本代表の4番として、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝にも貢献した希代の左打者だが、星野智樹(西武)やジェフ・ウィリアムス(阪神)など名だたる左サイド投手には軒並み苦戦を強いられた。現役を退いて4年。数々の打撃タイトルを総なめにした男が、打席から見た左サイドの脅威、攻略の難しさ、打ち出した対策を語る。数々の言葉が浮き彫りにしたのは「左横手」の特殊性。その難解な謎の一端に迫った。

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踵体重にされたら打者の負け

左サイドスロー投手との対戦は「ヒットが出ればラッキー」と思っていたという 【撮影:スリーライト】

――現役時代に対戦された主な左サイド投手との公式戦における対戦成績を見てみると、星野智樹(西武)に.182、ジェフ・ウィリアムス(阪神)に.125、宮西尚生(日本ハム)に.167と苦しめられています。

 めちゃくちゃ抑えられているという印象はないんですよね。かといって、めちゃくちゃ打っているイメージもありませんが(笑)。難しいですよ、左横手は。でも、彼らと試合の中で対戦する機会はだいたい1打席なんです。だから“ヒットになればラッキー”ぐらいな感覚ですよ。やっぱり攻略が難しいですもん。練習のしようがありませんから。

――とくに印象に残っている投手といえば誰でしょう?

 やはり西武の星野智樹君でしょうね。現役時代は僕が終盤のチャンスで打席に立つと、必ずといっていいほど出てきましたから。西武とはライバル関係でもあったので、対戦する機会がとくに多かった印象です。通算の対戦成績は58打数8安打。本塁打が1本ありますが、たしか西武ドームで打った2009年(6月28日)の勝ち越し本塁打だったと思います。(※編集注:3−4の7回、1死一塁からの逆転ツーラン)

――どの点に一番苦労されたのでしょうか?
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著者プロフィール

1976年大分県竹田市生まれ。東京での出版社勤務で雑誌編集などを経験した後、フリーランスライターとして独立。2006年から故郷の大分県竹田市に在住し、九州・沖縄を主なフィールドに取材・執筆を続けているスポーツライター。高校野球やドラフト関連を中心とするアマチュア野球、プロ野球を主分野としており、甲子園大会やWBC日本代表や各年代の侍ジャパン、国体、インターハイなどの取材経験がある。2016年に自著「先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者〜」(日刊スポーツ出版社)を出版した。

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