連載:左サイドスローの美学

宮西尚生、“運”から始まったプロ生活 対左からリリーバーへ成長できた理由

前田恵
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宮西は今シーズン、前人未到の300ホールドに到達した 【写真は共同】

 2018年7月、通算274ホールドを挙げ、日本新記録を達成した北海道日本ハム・宮西尚生。節目の300ホールドも超え、通算ホールド数はもはや一人旅の状態になった。11年間、リリーフ一筋。そのピッチングと強靭(きょうじん)な心身の源を探った。

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プロ入り当初は先発に未練があった

中継ぎの報われなさを感じていた宮西尚生は先輩たちの言葉に救われた 【撮影:スリーライト】

――左サイドスローで良かったなと思うところ、逆にマイナスに感じたところはありますか?

 プロに入ったとき、「左のワンポイント」として1軍でやっていけるチャンスが一番多いかな、と思いましたね。先発はやはり人数が決まっていて、能力が高くないとダメですが、変則気味の左なら1軍でポジションをもらえるんじゃないか。そこは感じました。ただ、そこは左バッターに特化される分、右が来たらすぐ交代させられてしまう。プロに入って5年くらいは、そこに葛藤がありました。「右(バッター相手)でもいける」という自信はありましたから。

――1軍に早く近づける半面、先発から遠のく可能性もある。

 やはり先発が華ですからね。プロに入って初めてリリーフを経験して、「抑えて当たり前」「打たれたら目立つ」。なんでこんなきついポジションで投げているのに報われないんだろう、と2年目くらいまではよく考えていました。

――それが、やがて「自分の場所」と思えるようになったわけですか?
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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