イチローに近道はない。無駄を重ねてこそ
シーズン最多262安打の記憶

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連載:第5回

2004年は262安打を放ち、メジャーリーグの年間最多安打記録を更新した
2004年は262安打を放ち、メジャーリーグの年間最多安打記録を更新した【Getty Images】

 3月16日午後。20、21日に東京ドームで行われる開幕戦を前にイチローと菊池雄星が並んで、記者会見をした。


 その席でイチローは、「まず3年しっかり結果を残して、そこでエースになってもらう」と菊池に注文を出している。

メジャー4年目「初球を打つな」の指示

「その年のエースというのは毎年生まれるものですけど、3年やってしっかりそのチームのエースになる、ということはなかなかできることではないです。ただ、雄星の場合はその力が十分にあるということをみんなが感じていると思うので、まず3年、しっかり結果を残してほしいなと思います」


 イチロー自身、3年結果を出して、ようやく認められる、という思いがあった。それはオリックス時代に先輩から言われたことでもあったが、実際、メジャー1年目に首位打者と盗塁王に加え、新人王、MVP、ゴールドグラブ賞などを獲得し、オールスターゲームにも出場した。2年目、3年目も同様に、年間200安打、オールスターゲーム出場、ゴールドグラブ賞を連続で受賞するなど、実績を残した。


 むしろ、それは一種の義務だったのかもしれないが、同時にそうなって、調整を含めた自由を手にしたとも言える。2004年に262安打を放ち、メジャーリーグの年間最多安打記録を更新したのは、そんなことと無関係ではないかもしれない。


 もっとも、イチローが自由を手にするのは、もう少し先のこと。2004年の春、マリナーズはイチローに縛りを設けた。

丹羽政善

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米し、インディアナ州立大学スポーツマーケティング学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行っているほか、NHK BS−1で放送されている「ワールドスポーツMLB」にも出演している。

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