天才フィエールマン春盾も最少キャリアV 秋・凱旋門賞実現へ課題は体質強化
「フランスの馬場も料理も好きだと思いますよ(笑)」
レース後、健闘を称えあったルメール(右)と戸崎は馬上でがっちり握手 【スポーツナビ】
追われる者よりも追う立場の方が強い、というのは競馬も同じことだ。末脚の勢いは外から強襲してきたグローリーヴェイズに分があるように見えた。しかし、フィエールマンは抜かせなかった。逆に、ゴール寸前にグイッと引き離してリードを広げたあたり、フィエールマンの底知れなさとともに、大きな可能性を感じさせたのではないか。
JRA年間プロモーションキャラクターを務める葵わかなさんも「大興奮でした!」というレースだった 【スポーツナビ】
「どこまで行けるかは、まだ分かりません。でも、レースをするごとに上手になっています。200メートルでも2400メートルでも大丈夫だと思いますし、スタミナもあります。そして能力が高いです」
また、先日報道されていたように、フィエールマンはフランスの凱旋門賞に1次登録を済ませたばかり。出走が決定したわけではないが、「春の大目標である天皇賞を勝ったことで、秋の選択肢は凱旋門賞を含めて広がったと思います」と手塚調教師。アーモンドアイとの挑戦が幻になったルメールも「フランスは合っていると思います。お母さんのリュヌドールはフランス馬だし、フィエールマンはフランスの馬場も料理も好きだと思いますよ(笑)」と冗談交じりに話した後、「残念ながらアーモンドアイは出走をやめてしまったけど、今年も日本馬でぜひ凱旋門賞に行きたいです」と、気持ちを新たに凱旋門賞挑戦へ思いを描いていた。
「体力がつけば、この馬はもう1ランク上に行ける」
秋の凱旋門賞挑戦の実現へ、体質強化が大きな課題となる 【スポーツナビ】
「凱旋門賞への挑戦は楽ではありません。体がしっかりしてきたとはいえ、環境への対応がまだ未熟。精神面についてくる体力がつけば、この馬はもう1ランク上に行けると思います。凱旋門賞までの半年間で成長があれば」
半年というのは長いようで短い。だが一方で、早熟タイプではないフィエールマンのような馬が充実期を迎えるのも、ちょうどこの時期だ。平成最後のJRA・GI馬が令和の扉を開けるがごとく、もう1ランク上への成長を遂げることを今は期待して待ちたい。
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)