天才フィエールマン春盾も最少キャリアV 秋・凱旋門賞実現へ課題は体質強化

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ルメール、史上3人目の8大競走完全制覇

平成最後のJRA・GIとなった天皇賞・春はルメール騎乗のフィエールマン(左)が優勝 【スポーツナビ】

 平成最後のGIレースとなる第159回GI天皇賞・春が28日、京都競馬場3200メートル芝で争われ、クリストフ・ルメール騎乗の1番人気フィエールマン(牡4=美浦・手塚厩舎、父ディープインパクト)が優勝。戸崎圭太騎乗の6番人気グローリーヴェイズ(牡4=美浦・尾関厩舎)との一騎打ちをクビ差制し、伝統の春の盾を奪取した。良馬場の勝ちタイムは3分15秒0。

 フィエールマンは今回の勝利でJRA通算6戦4勝、キャリア6戦での天皇賞・春制覇は史上最少キャリアとなる。また、重賞は昨年のGI菊花賞に続き2勝目。騎乗したルメールは天皇賞・春初勝利となり史上3人目の8大競走完全制覇を達成、同馬を管理する手塚貴久調教師も同レース初勝利となった。

騎乗したルメールは史上3人目の8大競走完全制覇を達成 【スポーツナビ】

 なお、2着グローリーヴェイズから6馬身差の3着には北村友一騎乗の8番人気パフォーマプロミス(牡7=栗東・藤原英厩舎)が入った。

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想像をはるかに超える大物かもしれない

菊花賞に続き天皇賞・春も史上最少キャリアでの優勝、フィエールマンは想像をはるかに超える大物なのかもしれない 【スポーツナビ】

 レースを振り返る前に……平成最後の天皇賞なのに“平成の盾男”が不在で、しかも、国内外を問わず春のレース選択肢が増えた影響もあり今年の出走メンバーはGI馬が1頭と、やや寂しい顔ぶれとなった。平成最後のGIがコレで大丈夫か?と正直、思ってしまったのだけれど、レース自体は1つの時代を締めくくるにふさわしい好勝負だった。そして、新時代に向けて“可能性”を大いに期待させる勝ち馬のパフォーマンスだった。

 勝者はフィエールマン。菊花賞を史上最少キャリアの4戦で制し(しかも3カ月半ぶりのぶっつけで)、ルメールが「才能があれば経験はいらない」と母国サッカー界のスーパースター、エムバペに例えて絶賛した若き天才ホースだ。

 今回も菊花賞と同様3カ月ぶりのレースとなったが、メンバー唯一のGI馬という実績はもちろんのこと、そのポテンシャルを考えれば1番人気は当然。ただ、筆者のようなひねくれ者は、逆にそのキャリアの少なさや、前走のアメリカジョッキークラブカップの敗戦から「本当に大物なの?」と、その“正体”をいぶかしがって斜めから見てしまうものだ。だが、フィエールマンは強かった。というか、想像をはるかに超える大物なのかもしれない。

まさに「イメージ通り」の競馬

「イメージ通り」の競馬を展開したルメールとフィエールマン、最後はグローリーヴェイズとの一騎打ちを制した 【スポーツナビ】

 レースはちょうど中団の位置取り。スタートが速くないタイプだけにこれはむしろ“好スタート”と言っていいだろう。鞍上ルメールの作戦も、後ろから徐々に押し上げていく、というものだった。

「今日はちょっと後ろのポジションに行きたいと思っていました。3200メートルは長いですからね。最初はリラックスして行きたかったですし、それができれば上手くポジションを上げていけます。そのイメージでした」

 前半1000メートルの通過は59秒8。中団から脚をタメていくフィエールマンにとっては絶好のペースだ。2周目からガクンとペースが落ちてしまい「ちょっと馬が行きたがった」と鞍上は振り返ったが、といって抑え過ぎず、行かせ過ぎず、折り合いをつけながらじわり、じわりと進出を開始。そして難所の3コーナー下りもスムーズにクリアし、気がつけば絶好の手応えのまま最後の直線入り口では早くも先頭に踊り出ていた。まさにルメールが語った「イメージ通り」の競馬。4コーナーで他馬と接触した影響でバランスが一瞬崩れたものの、それもすぐに立て直し「加速することができた」。あとは父譲りの自慢の末脚を爆発させるだけだった……が、食らいついてきた馬が1頭、現れた。それが2着グローリーヴェイズだった。

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