驚きの12番起用でも大活躍の“ボニ”
「ラグビーW杯に日本代表で出場できたら」

本来のNo.8ではなくインサイドCTBで先発

サンウルブズで活躍を続ける「ボニ」ことラーボニ・ウォーレンボスアヤコ
サンウルブズで活躍を続ける「ボニ」ことラーボニ・ウォーレンボスアヤコ【斉藤健仁】

 9月に開幕するラグビーワールドカップの日本代表スコッド入りに向けて、新たな選手が名乗りを上げた。

 4月19日、スーパーラグビー参入4年目のサンウルブズは、ホームの秩父宮ラグビー場で初めてナイトゲームを開催した。約1カ月ぶりの東京での試合で、4年連続ベスト4の強豪ハリケーンズ(ニュージーランド)が相手、サンウルブズが2020年を最後にスーパーラグビーから除外されることが決定してからホーム初の試合ということもあり、今シーズン最多の1万6805人のファンが集った。


 サンウルブズは開幕から8週連続で試合を行い、惜しい試合を落とすことも多く、2勝6敗でオーストラリアカンファレンス最下位。ただ、かろうじてプレーオフ進出の可能性を残している状況である。先週は試合がなく、休養は十分だった。


 そんな中、開幕前に「革新的なラグビーをする」と断言していたサンウルブズのトニー・ブラウンHCは一見、奇策とも言える起用をした。FW第3列の選手である「ボニ」ことラーボニ・ウォーレンボスアヤコを本来のNo.8ではなく、「12番」のインサイドCTBに抜擢した。

W杯の前に日本代表資格を得る見込み

今季は開幕からNo.8としてサンウルブズを支えていた
今季は開幕からNo.8としてサンウルブズを支えていた【斉藤健仁】

 ウォーレンボスアヤコは、「プロになれるならどの国でも良かった」と3年前にオーストラリアから来日し、友人のCTBフランクリン・カルゲイがいたNTTコミュニケーションズに加入した23歳の若き選手だ。父がフィジー人で、母がアイルランド系オーストラリア人。もともとBKだったが、高校でNo.8になって頭角を現し、オーストラリア高校代表にも選出、2年前からサンウルブズでもプレーしている。


 すでにウォーレンボスアヤコはフィジー、オーストラリアの代表資格があるが、9月のワールドカップ前には日本代表資格を得る見込みだ。FW第3列は日本代表でも特に競争の激しいポジションということもあり、サンウルブズでは開幕から7試合連続先発と気を吐いていた。そんな中、指揮官が目をつけたのは、しなやかかつ力強いアタック能力と、相手を止める力だった。

ブラウンHC「W杯のスコッドの層を厚くできる」

ウォーレンボスアヤコは「どのポジションでもサンウルブズの代表として出られるのがうれしい」と語る
ウォーレンボスアヤコは「どのポジションでもサンウルブズの代表として出られるのがうれしい」と語る【斉藤健仁】

 日本代表、そしてサンウルブズでは3人ずつ4つのユニットを横に並べるアタックシステムを採用し、ウォーレンボスアヤコは常にサイドでBKの選手とともに「シェイプ(攻撃の形)」を形成し、セットプレーからは突破役となっていたため、正直、アタックにはそんなに違和感はなかったはずだ。ディフェンスでは、オールブラックス(ニュージーランド代表)でもある突破力に長けたCTB陣のンガニ・ラウマペ、マット・プロクター対策であることは明白だった。


 ブラウンHCも「(ボニはのCTB起用は)もともと頭にあった。スキルもあるしBKをできる能力がある。今回の試合がちょうどいいと思った。相手のフィジカルが強いセンター陣に対してフィジカルの部分でうまく機能すればいい」とその活躍に期待を寄せた。また日本代表のアタッキングコーチも務める知将は「昨年は徳永(祥尭)がWTBでプレーした。ワールドカップのスコッドの層を厚くできる」と、その狙いの一端を語った。


 ウォーレンボスアヤコは、CTBでプレーすることに関しては、当然、「少し戸惑いもあった」という。ただブラウンHCらコーチ陣に「8番の方がボールキャリー、タックルでハードだが、同じようにプレーすればいい」と言われて大きな支えになった。また12番が本職であるCTBのフィル・バーリーやマイケル・リトルのサポートもあり「準備の段階で助けてくれた。どのポジションでもサンウルブズの代表として出られるのがうれしい」と意気込んでいた。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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