驚きの12番起用でも大活躍の“ボニ” 「ラグビーW杯に日本代表で出場できたら」

斉藤健仁

アタック、ディフェンスともに印象的な活躍

CTBで先発し、前半6分にはビッグゲインでトライを演出した 【斉藤健仁】

 いきなりブラウンHCの策が当たった。前半6分、ラインアウトからSOヘイデン・パーカーのショートパスでCTBウォーレンボスアヤコが抜け出し、見事なステップで相手をかわして、左大外にいたWTBセミシ・マシレワのトライを演出した。「私はあまり足は速くないですが、マシレワが声を出してくれました」と破顔した。

 その後もボールキャリーではチーム2位の11回、前半には相手SHのTJペレナラのトライを防ぐビッグタックルを見せるなどワークレイトの高いプレーを見せ続けた。終盤は本来のNo.8に入ってスクラムも組んだりとFWとBKの両方でプレーして「新しいチャレンジを非常に楽しみました!」。10番、13番との連携が必要なディフェンスも「周りの選手がサポートしてくれました。前を見ることを心がけた」と本人が言うように無難にこなした。

 ただ一度、ダイレクトキックを蹴ってしまったため「まだFWが蹴っているように見えるでしょうね(苦笑)。キックをもっと伸ばしていきたい」と振り返り、ディフェンスでも「もっと接点でボールに絡んでいきたい」と課題を口にした。

「どこでもプレーできる準備はしておかないと」

試合の終盤にはNo.8でプレー。サンウルブズの選手起用の幅を広げる存在となっている 【斉藤健仁】

 結局、試合は前半を23対10とリードしたものの、後半に得点を挙げることができず23対29で逆転負けを喫してしまった。ウォーレンボスアヤコは「私たちの方が相手にゲームを譲ってしまったような感じになってしまった。後半はもっとアタックマインドを持ってやらないといけなかった」と肩を落とした。

 それでもブラウンHCは、ウォーレンボスアヤコに関して「12番でプレーできると証明した。すごく良い選手で、今後、BKとしてもプレーできる。あと2〜3カ月したら日本代表でプレーするかもしれない」と満足した表情で語り、今後の活躍に太鼓判を押した。
 本人は「この1週間は、12番にフォーカスしましたが、8番でも12番でもいつでもどこでもプレーできる準備はしておかないといけない。どんなチャンスがあるかわかりませんが、それを一試合ずつやっていきたい」と先を見据えた。

背中には「謙虚」「家族」のタトゥー

ウォーレンボスアヤコは「日本、サンウルブズのファンを代表して戦っている」と語っている 【築田純】

 来日してから「強さの象徴」である虎や般若のタトゥーを入れて、最近は、背中に好きな言葉である「謙虚」「家族」と大きな漢字で彫った。好きな食べ物はカツ丼となった本人は日本でのプレーを楽しんでおり、「ワールドカップに、日本代表として出場できたらうれしいですね」と語る。

 プロ選手になりたくて来日し、その夢を日本のトップリーグで叶えて、サンウルブズで大きく成長した。「サンウルブズのファンは世界一です。日本、サンウルブズのファンを代表して戦っていると思っているので、次節はもっといいプレーしてファンに応えるような試合がしたい」。頭の片隅に、ワールドカップや日本代表はあるだろうが、今は、ウォーレンボスアヤコはサンウルブズに勝利をもたらすことに全力を傾けている。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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