モナコGPに見るセナのドラマ 幻の初優勝、プロストとの確執
F1デビューは新興チームのトールマン
セナは、歴代ドライバー最多の6勝をモナコGPで挙げ「モナコ・マイスター」として世界的なドライバーとなった 【Getty Images】
※リンク先は外部サイトの場合があります
トールマンとは、81年にF1へ参戦した新興チーム。後にベネトンとフェラーリのチーフデザイナーとして、ミハエル・シューマッハが乗るチャンピオンマシンをデザインしたロリー・バーンが、初めてF1マシンをデザインしたチームである。トールマンというチーム自体は85年シーズン後にベネトンに売却され、86年から2001年はベネトンチームとなった。その後ルノーに売却されて、02年から10年まではルノーチームに。そして08年9月に世界的金融危機の「リーマンショック」が発生。その影響で多くの自動車メーカーはF1チームの運営から撤退し、ルノーも投資ファンドのジニ・キャピタルにチームを売却した。11年からチーム名はロータスとなった。その後、再びルノーがチームを買い戻し、16年からはルノーF1チームとして、現在も参戦を継続している。
幻のモナコGP初優勝は中断レース
1984年にトールマンでF1デビューを果たしたセナ。初挑戦のモナコGPでいきなりの勝利を飾るかと思われた 【Getty Images】
当時、F1エンジンの主流だった1.5リットルターボエンジンは、現在の1.6リットルV6ターボと違い、ハイブリッドシステムなどは組み込まれておらず、そのエンジン特性は、ターボの過給圧が一定以上になると、突然パワーが出る、非常に乗りにくいものだった。こうしたエンジン特性は、モナコGPのような曲がりくねったストリートコースや、雨で路面が濡れた滑りやすい状況ではさらに扱いにくかった。そんな中、セナはモナコGPのフリー走行で、通常ドライバーが視認するエンジン回転計より、ターボのブースト圧を表示しているブースト計の動きが、アクセルを踏み込んだときのパワーの立ち上がりと連動していることに音の変化で気づいた。また、モナコのような狭いコースではブースト圧を高くしてパワーを出しても、逆に乗りにくい。あえてパワーダウンとなるがブースト圧を下げ、ブースト計にも白いテープを張り、一定の圧力を超えないよう走るなどの改善をした。
そして迎えたモナコGP決勝レース。予選13位からスタートしたセナに味方したのは天候だった。この年のモナコGPは大雨でのスタートとなり、どのマシンもパワーが過大で、突然トルクが発生するピーキーな特性をもつターボエンジンは、雨のなかでは乗りにくくタイムが出ない。セナは着々と順位を挙げて、ファステストラップを記録。ついにはトップを走行していたマクラーレンのアラン・プロストを32周目にオーバーテイクし、そのままチェッカーを受けて、初モナコGPでF1初優勝かと思われた。
続きはスポーツナビ公式アプリ(無料)で読むことができます。
- アプリケーションはiPhoneとiPod touch、またはAndroidでご利用いただけます。
- Apple、Appleのロゴ、App Store、iPodのロゴ、iTunesは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。
- iPhone、iPod touchはApple Inc.の商標です。
- iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
- Android、Androidロゴ、Google Play、Google Playロゴは、Google Inc.の商標または登録商標です。
- 前へ
- 1
- 2
- 次へ
1/2ページ