2度も投手をクビになった広陵・河野佳 「夏に、この悔しさを晴らしたい」
広陵の河野佳は3回途中6失点で降板。思い描いていたピッチングができなかった 【写真は共同】
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3回途中、6失点で降板した河野は肩を落とす。3回に浮いたスライダーを左翼席に放り込んだ石川によると、「1回の打席から(河野のまっすぐが)シュート回転していて、調子はあまり良くないなと感じていました」という。
そう。1回戦で八戸学院光星(青森)を完封したときの河野の投球は圧巻だったが、今日はまるで別人のようだったのだ。
河野が大きく飛躍したきっかけ
1回戦の八戸学院光星戦では完封勝利。昨秋からの成長を示した 【写真は共同】
8回、味方の2失策などで2死二、三塁。プロ注目の3番・武岡龍世を迎えたピンチでは、「自信のある直球で勝負」と141キロで内角をつき、ショートに小フライを詰まらせている。試合前、中井コーチに「完封するんで」と宣言するほどの好調ぶりは、終わってみれば有言実行の3安打完封だった。
実はこの河野、投手を「クビになっている」と言う中井監督は、すぐ隣のお立ち台にいる河野に声をかける。
「おい、何回クビになったかな?」
「2回です」
この掛け合い漫才に報道陣もドッと沸いたが、投手失格の期間は1年の冬に2カ月、2年の4月に2週間。不調から球速は120キロ台まで落ち、制球も定まらない。174センチの身長はさほど大きくもなく、野手転向を命じられたのだ。中井監督は言う。
「それでも、涙ながらにピッチャーをやりたいと訴えてきた。『泣くぐらい悔しいなら見返してみぃ』、と復帰させたんです。それからわずか1年たたないうちに甲子園で完封ですから、クビにしようと思ったことを謝るしかないですね(笑)」
投手に復帰後は、体の使い方を変えたことで球速が飛躍的に向上した。
「新チームになってから、さらにグッと伸びました。体が強くて柔軟性もあり、球の回転数を計れば、たぶんすごいと思います。またガマン強いし、根性がある」(中井監督)