明治を日本一に導いた分析と準備 「部員126名の努力が最高の形に」
田中監督「粘り強さ、それに尽きる」
粘り強く戦った明治大が22季ぶりの大学日本一に輝いた 【斉藤健仁】
1月12日、秩父宮ラグビー場でラグビー大学選手権の決勝が行われた。関東大学対抗戦3位ながら2季連続決勝に進出した明治大と、準決勝で帝京大のV10を阻み、1925年の創部以来初の優勝を狙う関西王者・天理大が激突した。
前半3分、天理大が先制したが、その後明治大が主導権を握り前半を12対5で折り返し、後半も優位に進めて22対17で競り勝った。明治大は1996年度以来、13度目の優勝を飾った。
昨季からヘッドコーチ、今季から現職となった田中澄憲監督は「部員126名の努力とハードワークが最後に最高の形で表れてうれしい。粘り強さ、それに尽きる。昨季を超える思いで学生が努力し勝つことができた。(勝因は)学生の努力、頑張り、それ以外ない」と目を細めた。
4年生同士の話し合いで結束
試合前に感極まる明治大・福田主将 【斉藤健仁】
「大学選手権前に4年生が(決起集会で)結束し、腹を割って話し合い、福田(健太)主将も痛いことを言われて成長につながった。課題も一つずつクリアしてきた。福田主将もこの6週間くらいで、グッと魅力的になってきた。4年生同士、最後、大事な場面でまとまってきた。チームがガラッと変わった」(田中監督)
試合前、指揮官は「対抗戦から36名の選手がたすきのようにつないできた。勝ち負けではなく、メンバー外の選手が、見ていて誇りに思うような試合をしよう」と選手に伝えた。福田主将は「(昨季の主将・古川)満さんの代が、明治としての壁を破ってくれた。昨シーズンは決勝に行けてホッとしたが、今季は優勝したい」と腕を撫した。
1年前の決勝で20対21と惜敗した悔しい思いから「本気で日本一」を目指してきた選手たちは自分たちのためよりも「メンバー外の選手のために勝ちたい」、そして日本一になり「キヨさん(田中監督)を胴上げしたい」というマインドになっていた。メンタル的にピークを持ってくることに成功していた。
天理大の強力アタックを抑え込む
天理大の強力なアタックを、激しいタックルで止め続けた 【斉藤健仁】
明治大はタックル成功率も高く、相手の強力アタックを止め続けた。天理大は過去9試合の平均得点が59.5点と高かった。日本代表キャップ2を誇るNo.8ファウルア・マキシ(4年)らトンガ人留学生が3人、WTB久保直人(4年)らがおり、グラウンドの横幅を広く、推進力に長けた選手が並ぶポッド・アタックを採用。さらにラインアウトからのモールも武器としていた。
ただ、試合前、福田主将は「(勝負の鍵は)ディフェンス。前に出てプレッシャーを与えていきたい。新チームになって最初から掲げていた(ボールを奪う)ハンティングディフェンスもしたい」と意気込んでいた。3人、4人で倒して人数をかけ過ぎてしまうと外にスペースが空いてしまう。1人目がしっかり倒し切って、2人目がボールに絡むことを徹底。隙があるとジャッカルや、抱え込んでモールアンプレアブルに持ち込みターンオーバーを重ねた。
また田中監督は、対抗戦の早稲田大戦で31失点した反省から、ディフェンスを修正。「いいとき、悪いときのビデオを見せた。すぐに修正できた。負けから学んで成長してきた」。前に出られるときはしっかりと出て、出られないときは横と連携を取り、面を保って止め続けた。そのバランスも見事だった。「外国人選手に対して決定的なところがなかった。たくましく、タフになった」(田中監督)
また今季から、外国人選手枠が2から3に増えたこともあり、日野やリコーといったトップリーグ勢と試合を組むなど対策も余念がなかった。やや勝ちを意識しすぎた後半29分以降、2トライを献上したが、最後もCTB森勇登(2年)が前に出てノックオンを誘ってノーサイド。相手を17点に抑えた。