天理大、帝京大の連覇を止める歴史的快挙 「緊張をチームとしては超えていた」
「天理ラグビーとしてプライドを持って」
先制トライを奪うなどの活躍を見せた天理大WTB久保直人 【斉藤健仁】
1月2日、東京・秩父宮ラグビー場でラグビー大学選手権準決勝2試合が行われ、関西3連覇中の天理大が、大学選手権9連覇中の帝京大と激突。開始早々から激しいディフェンスとスクラムでペースを握って29対7で快勝。天理大が帝京大の連覇を止めることに成功した。
天理大にとって帝京大は2011年度決勝(12対15)、2016年度準決勝(24対42)で敗れている相手だった。今季の夏合宿でも12対14で敗戦。だが試合前、天理大にやや分があるのでは、とも思っていた。昨年度は鬼門となった準々決勝で、大東文化大を30対17で撃破して準決勝を迎えていたからだ。
昨季の天理大は今季より強かったかもしれないほどのメンバーをそろえていた。だがリーグ戦から1カ月開いてしまった大学選手権の準々決勝で、ピークを合わせてきた東海大に7対33と惨敗。その経験があったからこそ、関西で戦いながら、フィジカルやフィットネスを高めつつ、打倒・東海大、帝京大とイメージしながら「練習では特にプレーの質を意識して常にやっていた」(HO島根一磨主将)
帝京大と3度目の対戦ということも大きかった。1995年から現職の小松節夫監督は「浮き足立ったり、緊張したりするところをチームとしては超えていた。それは先輩たちが体験、経験してくれた部分なので、天理ラグビーとしてプライドを持って(戦おう)と話をしました。大観衆の中でも、相手が帝京大でも、うちの力が出せた」と言えば、島根主将は「経験がある選手もいるし、たくさんのお客さんが入ることも想定済みだったので落ち着いてプレーできた」と振り返った。
今季から攻撃のシステムを変化
身長167センチと小柄ながら、激しいプレーで前に出た天理大FL岡山仙治 【写真:築田純/アフロスポーツ】
ルーキーイヤーから活躍していたSH藤原忍とSO松永拓朗の2年生ハーフ団もポッドにフィットしていた。「常にアタックの選択肢に誰かいるので、ポッド・アタックは僕からしたらやりやすい」(SO藤原)。そして、ポッドでは「外国人枠」が2人から3人になったことも有利に働いた。
日本代表2キャップのNo.8ファウルア・マキシ(4年)を筆頭に、LOアシペリ・モアラ(1年)、CTBシオサイア・フィフィタ(2年)の日本航空石川高時代から日本でプレーする3人のトンガ人選手が同時に出場できるようになり、4つのポッド(ユニット)を左右のエッジ(ライン際)と、中央に配置し、効果的にアタック。時にはエッジに2人、3人を同時に並べる形もあり、攻撃力は関西では群を抜いていた。
「一枚のテーブル」をイメージしたスクラム
低く、8人一体となるスクラムで帝京大を圧倒した 【斉藤健仁】
2011年度の主将SO立川理道(クボタ)らの活躍を見て、天理大に入学したPR加藤は「昨年度の方が、スクラムは木津(悠輔/トヨタ自動車)さんとかがいて、強かった。強い人たちとスクラムを組めたのが下の代の財産になり、その積み重ねが結果に出ている」と実感していた。