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涙の4年生と、笑顔で迎える監督
「挑戦し続ける」天理大ラグビー部

関西王者となるも、大学選手権で東海大に敗れる

東海大に敗れ、涙する選手たちを笑顔で迎える天理大・小松監督
東海大に敗れ、涙する選手たちを笑顔で迎える天理大・小松監督【斉藤健仁】

 12月23日、ラグビー大学選手権の準々決勝が行われ、東西でシードされていた各リーグの王者が登場した。大阪・キンチョウスタジアムでは関西大学Aリーグの王者で優勝候補の一角、天理大が、昨年度準優勝の東海大(関東リーグ戦2位)と激突した。

 準々決勝屈指の好カードは、天理大が常にディフェンスが強固な東海大にペースを握られ、7対33で敗戦し、天理大の日本一を目指す戦いは準々決勝で終わった。


 この2年、関西では頭一つ抜けた存在で、負けなしだった天理大。ハーフ団のSH藤原忍とSO松永拓朗、突破力のあるCTBシオサイア・フィフィタと1年生も先発したものの、23人のメンバーを見ればCTB王子拓也キャプテンを筆頭に、PR木津悠輔、FB井関信介(いずれも4年)、日本代表キャップも持つNo.8ファウルア・マキシ(3年)と3〜4年生の経験豊富な選手が多く、「史上最強」とも言われるほどの布陣だった。


 東海大には夏の練習試合では14対45で敗戦しており、過去の大学選手権での対戦成績も0勝3敗と決して分のいい相手ではなかった。それでも、今年度の天理大であれば、東海大、帝京大を倒す可能性も十分あるのではないかと見られていた。

王子キャプテン「蹴れなかったのが弱さです」

継続してアタックしたが、東海大のディフェンスの前に1トライに抑えられた
継続してアタックしたが、東海大のディフェンスの前に1トライに抑えられた【斉藤健仁】

「関西代表として、また日本一を目指すクラブとしてふさわしい試合を」と1995年から指導を続ける、理論派の小松節夫監督は気合いを入れて試合に臨んだ。ただ、ふたを開けてみれば、ボールポゼッションの7割くらいは天理大で、ボールを継続する持ち味は見せることができたものの、なかなか得点に結びつけることができず、王子キャプテンも「東海大さんのディフェンスを打ち破れなかった」と悔やんだ。


 前半は風上だったものの、キックをうまく使うことができず、逆にマークしていたNo.8アタアタ・モエアキオラ(3年)らに2トライを許してしまったことが痛かった。

 後半は、天理大学は「バックドア」とも呼ばれる裏のラインを使い、「ポッド」というシステムで、大外に配置していたCTBフィフィタ、No.8マキシの2人までうまくボールを運んだ。だが、それも東海大学は予想していたかのように、タックルの強いSH山管一史(2年)をWTBに配置するなどしてしっかりと対応した。


 前半のキックの使い方、そして後半、ボールを回す中でコンテスト(相手と競り合う)キックのオプションがほとんどなかったことは悔やまれる。やはり、相手のディフェンスが強固なときは、キックをうまく使うことも必要であろう。

 もちろんキックを選択肢としては用意したようだが、リードされる展開の中で、12番の位置からゲームをコントロールしていた王子キャプテンは「蹴れなかったのが弱さですし、うまさがなかった」と肩を落とした。

FW、セットプレーの強化で総合力の高いチームへ

強化してきたスクラム、モールはチームにとっての武器となった
強化してきたスクラム、モールはチームにとっての武器となった【斉藤健仁】

 また小松監督が「ボールを動かしながら継続すれば勝手に(ディフェンスの)人数が減ったり、ディフェンスのミスをしたりするチームがほとんどだった」と言うように、関西ではディフェンスが東海大レベルまでタイトなチームがさほど多くないこと、そして、リーグ戦終了から1カ月ほど試合がなかったことも影響があったと推測される。


 ただスクラムは終始優勢であり、後半6分には、ゴール前でうまくモールを組んで、一度押された後にも、しっかりとコントロールしてSH藤原がトライを挙げた。天理大は現在、持ち味としているボールを継続するアタックだけでなく、FW、セットプレーの強さもある総合力のあるチームと成長している。その転機は2013年度にあった。


 2009年度に東海大に敗れた天理大は、東海大にならって朝練習を始めたり、近くのダムの階段を走ったりとフィットネスやフィジカルの強化にあたり、2010年度、人格者として知られたHO立川直道(クボタ)キャプテンの下、35年ぶりに関西を制する。(大学選手権は2回戦で東海大に敗戦)


 続く2011年度は、いまでは日本代表の顔のひとりとなったSO立川理道(直道の弟/クボタ)がキャプテンとしてチームをリードし、帝京大に惜しくも12対15で敗れたが、天理大学の“代名詞”であるフラットラインを武器に、初の決勝まで駆け上がったことは鮮明に記憶に残っており、ラグビーファンの心を打った。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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