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- 2018年12月28日(金) 19:11
来春クラシックへ名乗り

2018年JRA競馬の最後を飾る2歳GIレース、第35回ホープフルステークスが28日、中山競馬場2000メートル芝で行われ、単勝1.8倍の断然1番人気に支持されたミルコ・デムーロ騎乗のサートゥルナーリア(牡2=栗東・中竹厩舎、父ロードカナロア)が優勝。好位3番手から難なく抜け出す快勝で、来春クラシックへ大きく名乗りを挙げるGI勝利を挙げた。良馬場の勝ちタイムは2分1秒6。
サートゥルナーリアは今回の勝利でJRA通算3戦3勝、重賞は初勝利。騎乗したミルコ・デムーロ、同馬を管理する中竹和也調教師ともにホープフルSは初勝利となった。

なお、1馬身半差の2着にはクリストフ・ルメール騎乗の2番人気アドマイヤジャスタ(牡2=栗東・須貝厩舎)、さらに3/4馬身差の3着には勝浦正樹騎乗の3番人気ニシノデイジー(牡2=美浦・高木厩舎)が入った。
ノーステッキでアッサリ突き放した

2018年の中央競馬を締めくくるにふさわしく、そして来たる2019年のクラシックがめちゃくちゃ楽しみになるサートゥルナーリアの勝ちっぷり。そして、アーモンドアイと同じロードカナロア産駒からまた1頭、とんでもない大物が登場した。
「初めての中山で、初めての2000メートル。最後に坂もあるしトリッキーなコースだからちょっと心配していましたけど、全然問題なかったですね。楽勝でした」
着差は1馬身半。それでもミルコが“楽勝”と話したように、他馬との能力の開きは明らかにそれ以上と感じられたし、他陣営には大変申し訳ないのだが、馬のレベルが2つ、3つも違う――そう思わずにはいられない、サートゥルナーリアの独り舞台だった。
レースは「スタートから手応え抜群」と、サートゥルナーリアが好発からハナに行く勢い。と言って引っ掛かっているわけではなく、1コーナーから2コーナーに差し掛かるあたりでコスモカレンドゥラを前に行かせると、そのままスッと控えて向こう正面では3、4番手のインを追走。「馬の気持ちを一番大事にして乗った」とミルコが振り返った通り、ここまで何の無理もない、ごく自然な滑らかさでレースを進めていた。
ちょっとしたピンチだったのが、直線入り口の攻防。内ラチぴったりに控えていた分、外から後続が殺到した際に包まれてしまい、行き場をなくしてしまった。余裕に運ばせすぎたか? と思って見ていたのだが、サートゥルナーリアはどこ吹く風。「狭いところを馬が一人で突っ込んでいった(笑)」と、ミルコも驚く闘争心でアドマイヤジャスタとブレイキングドーンの間を割ると、あとはノーステッキで他馬をアッサリと引き離してしまったのだ。
ストロングポイントは「能力」

強い。それしか言葉が見つからない楽勝劇。
「思っていた通りのレースができました。強いから何でもできる馬です」
数年来とも言われる寒波到来の影響で、ここ中山競馬場も顔がつるのではないかと思うくらいの寒風だったが、ミルコの頬は紅潮して緩みっぱなしだった。そして、名手にとってもそれほどの馬だという証しだろう。ストロングポイントは?と尋ねられたミルコは、即座にこう答えた。
「能力です。能力が高いですね。そして賢い」
普通ならば、スピードが……とか、瞬発力が……とか具体的に挙げるものだけど、『能力』のひと言でまとめるあたり、何か1つではなく、何をとってもハイレベルということだ。また、かつて北島三郎さんは「キタサンブラックの顔の良さに惹かれた」と語っていたが、その通り、美しい馬は強い(もしくは、強い馬は美しい)。ミルコもサートゥルナーリアの強さばかりでなく、その美しさも絶賛している。
「僕はエピファネイアには乗ったことはないけど、体と顔はそっくりだと思います。リオンディーズもすごく綺麗な男前で、エイシンフラッシュもそうだけど、すごく大好きな馬。サートゥルナーリアはリオンディーズとはちょっと違うけど、素晴らしく綺麗な馬ですね」
エピファネイア(13年菊花賞、14年ジャパンカップ)、リオンディーズ(15年朝日杯FS)はともにサートゥルナーリアの兄で、いずれもGIを勝利した名馬だ。また母シーザリオもご存知、日本と米国でオークスを勝った希代の名牝。そんな『新・華麗なる一族』の血を、サートゥルナーリアはフィジカル、ビジュアルともに色濃く受け継いだというわけだ。