大谷翔平は唯一無二のスイーパーを捨てるのか? 投手復帰過程での注目は「リリースポイント」
2015年3月にトミー・ジョン手術を受けたダルビッシュ有(パドレス)。16年5月に復帰したが、当初、彼本来の曲がりの大きなスライダーが鳴りを潜め、しばらくは何度もそう首を捻った。
要因の一つと考えられたのが、リリースポイント。復帰後、無意識に肘に負担のかからないフォームを求めた結果なのか、腕を通す位置が体に近くなり、結果、リリースポイントが高くなった。
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図1 ダルビッシュ有のリリースポイント(2014年〜17年)
「外旋位コックアップ」とは?
図2 大谷翔平のリリースポイント(2018年〜24年)
術前は、左足のヒールコンタクトの際、右手が肘よりも下にあり、これは体幹の加速に対して、腕が遅れて加速されることになるので、肘に負荷がかかりやすい「内旋位コックアップ」というフォームだった。
対して術後は、手が右肩、肘よりも上にある「外旋位コックアップ」へ。これは、体幹が大きく加速するときに手がすでに頭の後ろにあるため、体幹と腕を同時に加速でき、体幹の加速に対して腕の加速のタイミングの遅れがないため、肩肘の負担が小さく障害リスクが低い投げ方とされる。
大谷に変化を指摘すると、「(外旋位コックアップの方が)リスクが低いと言われていますね」と認め、20年の復帰前、「いいタイミングで(腕を)上げられるんだったら良いと思いますけれど、それを今やって、できるかといったら、合った人にはできると思いますし、合わなかった人だったらすぐにはできないので。(どこかで)折り合いはつけないといけないですし、言われたら、やってみるのも一つの手ではないかなと思います」と迷いを口にした。ところが、21年にはきれいな外旋位コックアップになっていたのである。