ブラスト覚醒の有馬V! 2019年主役へ 武豊も「感動した」オジュウ大健闘の9着

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池添、歴代トップの有馬記念4勝目

平成最後の有馬記念を制したのは池添騎乗の3歳馬ブラストワンピース(中・青帽) 【写真:中原義史】

 競馬の1年を締めくくるグランプリレース、第63回GI有馬記念が23日、中山競馬場2500メートル芝を舞台に争われ、池添謙一騎乗の3番人気ブラストワンピース(牡3=美浦・大竹厩舎、父ハービンジャー)が優勝。中団の外から力強く差し切り、大一番で初のGIタイトルを手にした。やや重馬場の勝ちタイムは2分32秒2。

 ブラストワンピースは今回の勝利でJRA通算7戦5勝。重賞は2018年GIII毎日杯、同GIII新潟祈念に続き3勝目。騎乗した池添は歴代単独最多となる有馬記念4勝目(09年ドリームジャーニー、11年・13年オルフェーヴル、18年ブラストワンピース)、同馬を管理する大竹正博調教師は開業10年目にして初のGI制覇となった。

池添はこれで歴代単独トップの有馬4勝目、大竹調教師は初のGI制覇となった 【写真:中原義史】

 なお、クビ差の2着には1番人気に支持されていたクリストフ・ルメール騎乗のレイデオロ(牡4=美浦・藤沢和厩舎)が入り、さらに1馬身1/4差の3着にはヒュー・ボウマン騎乗の9番人気シュヴァルグラン。一方、武豊が騎乗し“二刀流”の挑戦で注目を集めていた障害レース絶対王者、5番人気オジュウチョウサン(牡7=美浦・和田郎厩舎)は最後の直線で見せ場を作る大健闘の9着だった。

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ルメール「きょうはハービンジャーの馬場だった」

ついに素質が覚醒! 3度目の正直でのGI制覇に池添も鞍上で喜びを爆発させた 【写真:中原義史】

 平成最後のグランプリ、その栄冠に輝いたのは、ただ1頭の3歳馬ブラストワンピース。直線外から一完歩、一完歩、力強い末脚で年上の古馬たちをねじ伏せたその走りは、実に見事なものだった。

「ブラストワンピースに関しては、GIが獲れる馬とずっと言い続けていましたが、ダービー、菊花賞と悔しい思いをしましたからね。でも、この有馬でGIを勝つことができて、本当に嬉しいです」

 殊勲の池添は大きな笑顔を浮かべながら、素直にこの喜びを語った。春のダービーが2番人気5着、秋の菊花賞は1番人気に推されながらも4着。あと一歩のところでビッグタイトルを逃していたが、その素質が、ハイレベルと言われている現3歳世代でもトップの1頭であることは、池添だけでなく、競馬ファンも良く分かっている。事実、この有馬記念でもサトノダイヤモンド、マカヒキ、シュヴァルグラン、ミッキーロケットらGI馬を押しのけての3番人気という高い評価。今度こそ……の思いはファンも同じだったのだろう。

 そして、きのう、きょうと関東地方に降った雨。これは間違いなく、ブラストワンピースに大きく味方したものだった。クビ差惜敗に泣いたレイデオロの鞍上、ルメールが敗因をこう振り返っている。

一方、2着に敗れた1番人気のレイデオロ、騎乗したルメールは雨で重くなった馬場を悔やんだ 【写真:中原義史】

「勝った馬をマークしていましたし、完ぺきなレースができたと思いました。でも、悪いポイントを挙げるとしたら、3、4コーナーの馬場が悪かったことかな。あそこで反応が遅くなってしまいました。勝ち馬はハービンジャー産駒で、あの馬場でも手応えが楽だった。レイデオロも最後は良く頑張ってくれて惜しかったけど、仕方ない。きょうはハービンジャーの馬場でしたね」

 ハービンジャーは英国最高峰レースの1つ、キングジョージVI世&クイーンエリザベスステークスを歴史的大差で圧勝した欧州の名馬。その子たちは、素軽い瞬発力というよりは、息の長いパワフルな脚で勝負するタイプが多い。そんなハービンジャー産駒の特徴に、きょうの中山馬場はピタリと合っていたとルメールは見たのだ。

“グランプリ男”が見せた最高の手綱さばき

“グランプリ男”池添の好騎乗も勝利の大きな要因の1つだ 【写真:中原義史】

 もちろん、天気と馬場が味方したからといって、有馬記念は易々と勝てるレースではない。菊花賞から2カ月、このゆったりとしたローテーションの中で完ぺきな仕上げが施され、「背腰に筋肉がついて、どんどん成長している」と池添が目を見張ったように、若い3歳馬は驚くほどの成長力を見せてくれた。そして、レースではバトンを託された“グランプリ男”が最高の手綱さばきを披露してみせた。

「オーナーからは思い切って乗ってくれと言われて、僕自身も悔いのないように思い切ってポジションを取りに行こうと思いました。スタートで出していった分、最初のコーナーでは突っ張るような形でしたが、控えたときに折り合いもつきましたし、ストレートで手前を替えて、コーナーでもまた手前を替えてと、本当にしっかりと脚取り良く追走することができました」

 やや出遅れたキセキがそれでも外からハナを主張し、前半1000メートルの通過は60秒8と、この馬場を考えれば多少速めのペースか。しかも、2週目のバックストレッチに入るころには2番手オジュウチョウサン以下を引き離しにかかり、天皇賞・秋、ジャパンカップ同様に後続を幻惑するレース展開に持ち込んだかに見えた。一方、中団より前、6〜7番手にポジションが落ち着いたブラストワンピースはと言うと、そのキセキを気にしなければいけないし、一番の強敵レイデオロがちょうど真後ろに陣取りにらみを利かせている。まさに前門の虎、後門の狼に挟まれる難しい選択を迫られたが、池添はひるむことも、迷うこともなかった。ただ、相棒の力を信じて「“ここで”というところで」と、ドンピシャの仕掛けどころを逃さなかったのだ。

「坂を上り終わって、後ろから足音が聞こえてきて何か来ていると分かったので、『何とかしのいでくれ』と。勝ったと思ったときには、ガッツポーズ出ちゃいますよね(笑)」

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