優勝を目指す集団に“美談”はいらない 内田篤人が語るアジア制覇の記憶 2011年
アジアカップの難しさを物語る長友佑都の苦戦
失意の南アフリカW杯を終え、内田は「どんな監督、どんな戦術でも11人に選ばれる選手になる」との決意を固めていた 【佐野美樹】
いつからそうするようになったのか、今となっては覚えていないが、鹿島アントラーズでタイトルを重ねるうち、相手の出方や攻撃の糸口を見つけるために、特に試合序盤に逆サイドの動きを意識することが多くなった。
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「今でも覚えている。長友(佑都)さんだよね。いつもは長友さんが球際のところで身体を入れたら、ガシャガシャとなって、ボールが長友さんの前にこぼれたりする。でも、ヨルダン戦では違った。長友さんはいつも通りプレーしていたと思う。でも、ガシャガシャとなったあと、相手の前にボールが転がったんだ。珍しいなって」
半年前の2010年南アフリカ・ワールドカップ(W杯)で長友は左サイドバックとして岡田ジャパンのベスト16進出に大きく貢献した。カメルーンのサミュエル・エトーをはじめ、相手のキーマンのマーカーを任せられることが多く、小柄ながらも鍛え抜かれた身体で相手の突破を封じていた。
その守備力はエースキラーと呼ぶにふさわしいものだったが、その長友が半年後、アジアレベルの大会で苦戦していた。少なくとも内田の目にはそう映った。
「大会が進むにつれて、あの人もだんだん調子を上げて。結局、大会を通じて見れば活躍することになるんだけど、初戦ってそういう難しさがある。相手の勢いもあるし、大会の独特な雰囲気もある。うまくいかないことが多い」
長友と同様、内田もこの大会が初めてのアジアカップだった。南アフリカW杯予選でアジア各国と対戦し、東アジア選手権(現E−1サッカー選手権)に出場したこともある。年代別代表を含めれば、対アジア諸国の経験値は高かったほうだろう。その内田が「やっぱりアジア予選とはちょっと違う。独特」と言ってから、初戦が難しくなる要因について分析した。
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