ブラスト覚醒の有馬V! 2019年主役へ 武豊も「感動した」オジュウ大健闘の9着

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今からが本格化、大竹調教師「ここがゴールではない」

「ここがゴールではない」と大竹調教師、2019年はどの路線に向かうのか注目 【写真:中原義史】

 3歳クラシックで味わった2度の悔しさをバネに、3度目のGIチャレンジでつかんだビッグタイトル。この日の馬体重でも534kgという破格の数字が示すように、大きな馬ではあるのだが、その実、「丈夫そうに見えると思いますが、トモ(後肢)と背中に弱さがある馬」と大竹調教師。この体質の弱さもあって、これまでは使い詰めをせずに長めの間隔をとるローテーションで大事に使われてきたわけだが、この我慢の時ももう終わりを告げるだろう。トレーナーが続けた。

「そろそろ完成しつつあると思います。有馬記念を勝つことができましたが、これまでのこの馬に対する期待を考えると、ここで満足してはいけない。ここがゴールではありませんし、来年はさらに良くなるように育てていきたいです」

本格化を迎える2019年、アーモンドアイと同じ勝負服のブラストワンピースが国内、海外で大暴れを見せるか 【写真:中原義史】

 池添も気持ちは同じだ。

「3歳で有馬を勝つんですから、今の時点でも十分すごいんですが、どんどん強くなっているし、もっと良くなる馬だと思います。このまま無事に行ってほしいですね」

 来年の目標レースについては明確にはされなかったが、さらにパワーアップを迎えるであろうブラストワンピースならば、どんな条件でも好勝負してくれるのでは……そんな期待感でいっぱいになる有馬記念のレース振りだった。そして、強い3歳の代表と言えば、牝馬三冠+JC覇者のアーモンドアイなのだが、両馬は同じシルクレーシングの勝負服。2019年は「水色、赤玉霰、袖赤一本輪」の牡牝2枚看板が海外、国内問わず大暴れする1年となるかもしれない。新しい元号が来る前に、競馬界はひと足早く世代交代が進んだ、そんな有馬記念とも言えるだろう。

オジュウチョウサン見せ場十分、武豊「改めてすごい馬だと」

大健闘のオジュウチョウサン、武豊もその走りを賞賛 【写真:中原義史】

 一方、今年の有馬記念は“平成最後”にふさわしいチャレンジがあった。それが障害レースの絶対王者・オジュウチョウサンの挑戦だ。鞍上に武豊を配したこともあり、対世間での話題性ではダントツだっただろう。それは、敗れたにも関わらず、共同会見の場が設けられたことからも分かるというものだ。

「いいレースができたと思います。自分としてはやりたいレースができましたし、馬も一生懸命走ってくれました」と武豊。前売りでは単勝2番人気にもなり、最終的には5番人気に落ち着いたが、それでも最終オッズは10倍を切る9.2倍。やや過熱気味かと思えたが、そのレース振りは大健闘と言っていい。

 好スタートから道中は2番手のポジション。キセキを見る形でレースを進め、4コーナーから最後の直線では先頭に踊り出そうな気配を見せると、「もしかして」「まさか」という期待感で競馬場は沸きに沸いた。その時の手応えを、武豊はこう振り返っている。

「枠が1番だったので、好スタートなら先行したいと思っていました。4コーナーでは一瞬でも“オッ!”という手応えがありましたし、このメンバーに入って見せ場を作りましたからね。4コーナーの走りには感動しました」

 惜しむらくはこの雨。障害王者だけにスタミナ勝負となる雨の馬場は持ってこいと思われがちだが、オジュウチョウサンにとってはそうではない。武豊も「馬場が悪くてノメっていましたし、走りにくそうにしていましたね」と残念がっていた。ただ、その一方で「精神的にタフなのか、最後まで頑張ってくれましたね」と、その懸命な走りを称えているように、間違いなくオジュウチョウサンの走りは、ファンはもちろんのこと、4000勝ジョッキーの胸を打つものだった。

「有馬記念で、しかも2番手からの競馬。堂々としたレースだったと思います。改めてすごい馬だなと思いましたね。結果は残念でしたが、今年の有馬を盛り上げたと思いますし、それに応えた走りだったと思います。ナイストライでした」

 勝利を挙げたオグリキャップ、ディープインパクト、キタサンブラック、2着に敗れたスーパークリーク、メジロマックイーン、マーベラスサンデー、スペシャルウィークなど、日本競馬史に名を残す馬たちとともに平成の有馬記念30年史を彩ってきた武豊。その最後を勝利で飾ることはできなかったが、オジュウチョウサンとのコンビは間違いなく、2018年有馬記念の“主役”だった。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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