偉大なワンクラブマンが記す『150』。大戸裕矢、勝つために全力を注ぐ不変の姿
その節目とは、大戸裕矢が、出場すればクラブ史上4人目のクラブ通算150キャップを達成すること。
2012年に立命館大学を卒業してヤマハ発動機ジュビロ(現在の静岡BR)に加入し、同年9月のジャパンラグビー トップリーグ第4節で初キャップを獲得してから13シーズン、静岡BR一筋で常に主力として大きなけがなく働き続けてきた。17年には日本代表でも初キャップを記録している。
187cm、100kgと現代のロックとしては決して大きくはないが、ラインアウトのキャッチ成功率も高く、目立たないところでの貢献度も非常に高い選手だ。彼が欠かせない存在であり続ける理由について、藤井雄一郎監督は次のように語る。
「試合による(パフォーマンスの)上下があまりない。体を張れるし、(判断やプレーの)間違いがないんですよね。どんなにプレッシャーが掛かっていても間違えないし、相手が強くなっても間違えずに一貫して同じプレーができる。なかなかそういう選手はいないので、それも彼が150キャップを取れた理由の一つだと思います。あとはけがをしないし、痛みにも強い。派手な選手じゃないけれど、いてくれるとすごく安心です」
大戸本人も「(間違えないことは)いまだけでなくて僕がこのチームに入って清宮さん(清宮克幸元監督)の下でやっていたときから、たくさん勉強してきたし、自分でも本当に大事にしているところです」と誇りにしている。
けがについては「ちょっと痛いぐらいなら問題なくできると思ってやっています」と言うが、その「ちょっと痛い」は常人の基準では「相当痛い」はずだ。また、けがが少ない理由は、彼自身のプライドとも関係しているようだ。
「正しいスキルでラグビーができているのかなというのはあります。逆ヘッド(頭を負傷しやすい危険なタックルの入り方)もあまりないですし、本当に中学・高校・大学で正しいスキルを身に付けて、それを実践できているから(けがをしにくい)というのは感じています」
150キャップは真に誇るべき足跡と言えるが、大戸自身はそれよりも勝つために何をすべきかを強調する。
「150という数字を目標にしてきたわけではないですが、この歴史あるクラブで150試合プレーできるのは、僕にとって本当に特別なことです。ただ、今節はすごく大事な一戦ですし、三重ホンダヒートは横浜キヤノンイーグルスに勝って、勢いや力強さは相当あると思います。でも、僕らがフォワードで試合を決めるような展開にできれば、どのチームにも勝てると思うので、チームが勝つためにフォワードから圧倒していきたいと思います」
その思いをチーム全体で共有できれば、彼の偉大な記録に花を添える勝利も自ずと近づいてくるはずだ。
(前島芳雄)
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