アヤックス、PSVがCLで奮闘する影で 深刻な“2強以外”の弱体化
消えた「サブトップ」の存在
堂安律(右)の所属するフローニンゲンなど、“2強”以外のチームは厳しい戦いを強いられている 【Getty Images】
相手チームの選手が足をつって苦しむ終盤、アヤックスはマズラウイ、PSVはダンフリースという右SBたちが伏兵となり、決勝ゴールを決めてしまう。勝利への強い意思、エネルギー、パワー、決定力ー。試合後、私は全国紙の記者に「オランイェも、アヤックスも、PSVも『ドイツ人のメンタリティー」』を得たな」とつぶやくと、「おまえ、それはいい表現だな」と同意してくれた。
堂安律はPSV戦で、CLクラスの試合をしたことになる。さすがに負けてしまったということもあり、浮かない表情ながらも「やっていて楽しかった。(この試合では右サイドを務めて)ライン際でボールを持って自分でもワクワクした」といつもより1クラス上の試合を楽しんだようだった。
レベルが高い試合だから、課題も浮かび上がる。自陣での不用意なドリブル、ミスパスは一気にピンチに陥るということを、きっと堂安も痛感しただろう。だから、若い選手はこういう試合を数多くこなすことが大事になってくる。
28日は、ヨハン・クライフ・アレーナでアヤックス対フェイエノールトの試合があったが、アヤックスは何の苦もなく3−0で勝ってしまった。開始5分でフェイエノールトは退場者を出し、これでもう勝負が決まったようなものだった。
あのベンフィカ戦の熱気、ブーイング、スタジアムの揺れは、フェイエノールト戦にはなかった。アヤックス対フェイエノールトは、ただのオランダリーグの1試合になってしまった。デ・クラシケルと呼べるのは、スタディオン・フェイエノールトで行われるフェイエノールト対アヤックスの1試合だけなのかもしれない。
オランダ代表とアヤックスがヨーロッパの舞台で復活の兆しを見せ、PSVはオランダリーグを引っ張り、CLで強豪相手に必死に食らいついている。だが、三大クラブの1つであるフェイエノールトが没落。AZ、ヘーレンフェーン、ユトレヒト、フィテッセ、フローニンゲンといった中堅クラブも今一つで、“サブトップ”というポジションがなくなってしまった。
今、オランダではアヤックス、PSVを除いたチームの弱体化が深刻な議題にあがっている。日曜日のアヤックス対フェイエノールトは、その象徴的なゲームだった。