強いオランダ代表が戻ってきた ドイツに歴史的勝利…偶然ではない
オランダ紙記者との安どの会話
ネーションズリーグでドイツに3−0と完勝。オランダ代表はかつての熱を取り戻しつつある 【Getty Images】
ドイツが作ったビッグチャンスを思い返すと、このスコアは決して妥当なものではない。フィニッシュの精度が高ければ、ドイツが勝つこともできただろう。そうは言いながらも、オランダの勝利は決して偶然ではなかった。
オランダに住み、この国の空気を吸い、現場でサッカーを見ているからこそ感じるものがある。その代表格が、『アルヘメーン・ダッハブラット』や『デ・テレフラーフ』といった全国紙の記者たちだ。最近、私は彼らと「やっと、オランダのサッカーが戻ってきたな……」という会話をしたばかりである。
ある記者は「デ・ヨング、デ・リフト(共にアヤックス)といったワールドクラスのタレントが出てきた。さらにベルフワイン(PSV)も加わってきたら、オランダ代表は面白い」と言い、別の記者は「チャンピオンズリーグ(CL)でアヤックスがすごく良いが、PSVのことも忘れてはならない。PSVはCLで2試合戦って勝ち点ゼロだが、そのサッカーの内容は評価に値する」と言う。私たちの会話には、長いトンネルから抜けた安どのような空気が流れていた。
PSV、アヤックスの欧州での活躍が自信に
オランダサッカー・ウォッチャーの自信の源泉となっているのは、何と言ってもアヤックスだろう。CL開幕戦では、GKオナナとセンターFWフンテラールを除いてMFのような選手をズラリと並べてAEKアテネに3−0で快勝した。だが、さすがに本職のCBを置かずに勝てるほどオランダリーグPSVとのアウェーマッチは甘くなく、守備が崩壊して0−3で大敗を喫してしまった。
そこで、CL第2節のバイエルン戦ではしっかりDF2枚(デ・リフト、ウーバー)を中央に置き、1−1というスコア以上の素晴らしいサッカーを披露し、オランダ国民にいい意味でのショックを与えた。バイエルン戦直後のオランダリーグAZ戦では、相手を完膚なきまでにたたきつぶす究極のサッカーで5−0で完勝した。アヤックスが通った後はぺんぺん草も生えない、それぐらいのサッカーだった。
「今のアヤックスは1995年のアヤックスと匹敵する」という声すら、オランダ国内では上がった。それはさすがに言いすぎだろうと、私は思う。だが、今季のアヤックスはCL予備戦、プレーオフからずっとレベルの高いサッカーを続けており、ディナモ・キエフを破ってCL本戦を決めた時点ですでに、解説者のファン・ホーイドンクは「今のアヤックスは、2年前にヨーロッパリーグ決勝に進んだチームより経験を積み、より強くなった。ここ10年で最強のチームだ」とまで言い切っていた。