東京2020 THE WAY to 2020

バレー界の新星・西田有志が目指す自分像
「日本を救えるような選手になりたい」

 2020年東京大会そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第30回は三重県出身、バレーボールの西田有志(ジェイテクトSTINGS)を紹介する。

アグレッシブでハートの強い18歳

史上最年少でのV・プレミアリーグ出場から1年。代表デビューも果たした18歳の西田有志の胸の内には、成長への意欲があふれている
史上最年少でのV・プレミアリーグ出場から1年。代表デビューも果たした18歳の西田有志の胸の内には、成長への意欲があふれている【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

「彼の中には虎がひそんでいる」


 今年4月、日本代表のフィリップ・ブランコーチに、西田有志の印象を聞いた時の言葉だ。

 ブランはフランス代表監督を長く務め、4年前の世界選手権ではポーランド代表コーチとして金メダル獲得をアシストした経験豊富な指導者。その彼が、力強く跳ねて鋭いスパイクを放ち、何よりアグレッシブでハートの強い18歳をえらく気に入ったようだった。


 西田の辞書に「遠慮」という文字はない。今春、高校を卒業したばかりで初めて全日本に招集されたが、物おじすることなくすぐになじみ、コートの中では14歳年の離れた福澤達哉(パナソニック)とも気兼ねなく肩を組む。

 7月28、29日に行われた日韓親善試合後のコートインタビューでは、「石川(祐希/シエナ)選手や柳田(将洋/クプルム・ルビン)選手というビッグネームの人たちに負けないように頑張ってきたんですけど、まだ僕の(選手グッズの)Tシャツが全然浸透させられていないので、まだまだです。みなさん、もうちょっとTシャツ買ってくださーい」と、ユニークなマイクパフォーマンスで会場を沸かせた。


 どちらかというと真面目でシャイな選手が多い今の日本代表の中で、西田はキャラクター的にも稀有(けう)な存在だ。


 三重県いなべ市で生まれ育った西田がバレーボールを始めたのは5歳の時。兄と姉がバレーをしていたため、自然な流れで「大安ビートル」に入団した。中学時代は大安中のバレー部とクラブチーム「オーシャンスター」を掛け持ちし、三重県の選抜に選ばれJOC杯にも出場した。

 高校進学時は県外の強豪校からの誘いもあったが、「強いところに行くより、下から強いチームを倒していくほうが楽しい」と、地元の海星高を選んだ。実際に高校3年の時、西田はチームを初のインターハイ出場、ベスト16入りに導いた。

「チャレンジしたい」史上最年少でのV・プレミア出場

物おじしない性格も西田の魅力。13歳年上の福澤(右)とも気兼ねなく肩を組む
物おじしない性格も西田の魅力。13歳年上の福澤(右)とも気兼ねなく肩を組む【写真:坂本清】

 高校2年の時、西田はVリーグのジェイテクトSTINGSから誘いを受けた。

 日本の男子バレー選手は、多くが高校から大学を経てVリーグ入りする。しかし西田は、「声を掛けていただいて、挑戦するチャンスをいただいたからには、チャレンジしたい」と、大学に行かず高校から即ジェイテクトに入団することを決めた。その決断が、結果的に西田のバレー人生を大きく飛び級させることになる。

 17年末にジェイテクトの練習に合流すると、年明け1月6日の堺ブレイザーズ戦に途中出場を果たす。高校3年生、17歳でのV・プレミアリーグデビューは男子では史上最年少だ。

 西田はその試合で66.7%と高いスパイク決定率を残し、翌日のJTサンダーズ戦では初先発。ここでも高いスパイク決定率でチーム最多タイの26得点を挙げ、以降、スタメンに定着した。


 身長186センチとオポジットとしては小柄だが、最高到達点346センチという跳躍力は大きな武器だ。速いスイングから繰り出されるパワーあふれるスパイクで、Vリーガーのブロックやディグを豪快に弾き飛ばした。しかも、ただ勢いに任せて打ち込んでいるわけではない。相手にブロックされたりミスが出たとしても、同じ間違いを繰り返さないクレバーさと冷静さがある。

 1月20日の試合でジェイテクトに敗れたサントリーサンバーズの荻野正二監督はこう絶賛していた。


「うまいですね。スパイクを下に落とさないし、コースの幅が広い。ブロックがそろっていたらクロスに、空いていたらストレートにと、ブロックをしっかりと見て打っているし、思い切りがいい。高校生だけど、オポジットとしてあそこまで託されて、その期待に応えるというのは並大抵の精神力じゃない。高校から(Vリーグに)入った選手の中で過去最高じゃないですか」

米虫紀子

大阪府生まれ。大学卒業後、広告会社にコピーライターとして勤務したのち、フリーのライターに。野球、バレーボールを中心に取材を続ける。『Number』(文藝春秋)、『月刊バレーボール』(日本文化出版)、『プロ野球ai』(日刊スポーツ出版社)、『バボちゃんネット』などに執筆。著書に『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』(東邦出版)。

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