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新リーグ開幕に向けたサントリーの試み
バレー界を盛り上げる、情熱の仕掛け人

新生「V.LEAGUE」開幕まであと3カ月

新生「V.LEAGUE」の開幕戦を戦うサントリー。会場を盛り上げる仕掛け人に話を聞いた
新生「V.LEAGUE」の開幕戦を戦うサントリー。会場を盛り上げる仕掛け人に話を聞いた【写真提供:サントリーサンバーズ】

 猛暑の日々が続く7月22日、東京・お台場で開催されたVリーグサマーフェスティバルにおいて、今季から新リーグとして発足するVリーグの2018−19シーズンの公式日程が発表された。


 これまでも新リーグのロゴや参加チーム、試合形式などその都度発表され、表記上、「Vリーグ」から「V.LEAGUE」へと変わり、女子のトップカテゴリーであるV1は東西に分かれ、男子のV1は8から10へとチーム数も増加。Vリーグ機構は「スポーツで稼ぎ、その収益をスポーツに還元するシステム構築を目指す」と打ち出しているように、変化する、というのは確かだ。しかし、正直なところ、未だ全貌はつかみづらいのが現状でもある。


 とはいえ、開幕まであと3カ月。


 新たに変わろうとしているリーグを盛り上げるべく、選手や監督が優勝を目指しチームの強化に励むように、運営の現場もさまざまな魅力を伝えるための仕掛けに策を練る。中でも近年、ナイトゲームや観客参加型のハロウィンイベントなど、他とは異なる新しい取り組みを積極的に行ってきたのがサントリーサンバーズ。新生「V.LEAGUE」のスタートを切る開幕戦でJTサンダーズと対戦するサントリーは、全チームの旗振り役となるべく、次なる展望をどう描くのか――。

会場の盛り上げを担う3人の元選手

選手から広報になり、「もっと会場を盛り上げたい」と考えるようになったという佐別當氏
選手から広報になり、「もっと会場を盛り上げたい」と考えるようになったという佐別當氏【田中夕子】

 サントリーでイベントの企画立案から全体の流れや細かな人の動き、観客動員などホームゲームに関する手綱を握る軸となるのは、事務局で働く佐別當賢治氏、吉田譲氏、牟田真司氏の3名。ポジションはリベロ、セッター、ウイングスパイカーと異なるが、皆サンバーズの選手としてプレーした経験を持つ。東京、大阪、熊本とホームゲームの開催地によって担当は変わるが、今季開催されるホームゲームの7試合で全体を統括するのが佐別當氏。07年から14年までリベロとしてプレーし、現役引退後はマネージャー、広報としてチーム運営に携わった。


 広く見れば今と同様に、現場ではなく運営側ではあったのだが、マネージャーの頃は選手側の目線に立つことが多く、何より自身の中でも「まだバレーボールがしたい」という気持ちがあった。立場は変わっても練習に出られる時は積極的に手伝い、現場に寄り添うことを第一に考えて来たが、時を重ねるうちに、発想の転換を余儀なくされた、と振り返る。


「まだ諦めたくなかった自分もいたんだと思います。でも、いつまでもそのままでいられるわけではないし、上の人からも『お前の仕事はそこじゃない』と言われて、このままじゃいけないんだ、と意識が変わりました」


 現役の頃にはファンサービスに対してもさほど積極的ではなく、バレー教室やイベントなどは「言われたらやる」と、どちらかと言えば受動的だった。だが、立ち位置が変われば見方も変わる。マネージャーから広報へ転じてからは、どうすれば人を呼べるか、今までどのチームもやっていない新しいことに着手して、「もっとバレーボールの会場を盛り上げたい」と、考えるようになった。

最初は否定的な声の方が多かった

会場のライトアップやアルコール提供など、やったことがないことに対して、最初は否定的な声が多かった
会場のライトアップやアルコール提供など、やったことがないことに対して、最初は否定的な声が多かった【写真提供:サントリーサンバーズ】

 JリーグやBリーグが発足した時のように、リーグ本体や各クラブの広報にスポーツビジネスの専門家を擁するわけではない。バレーボールではひとつ道を極めたが、運営に関しては自分たちが素人であることも熟知している。だからこそ、サッカーやバスケットボールなど他競技の情報を積極的に取り入れ、多くの人の話を聞いて回った。


 その中で少しずつイメージも広がり、選手入場時のライトアップや、試合と同時進行の実況。昨シーズン開催した平日のナイトゲームなど、仕事帰りの人たちも気軽に足を運び、アルコールや食事とともにバレーボールを楽しんでもらえれば、という発想が生まれた。


 もちろん実現に至るまでは、決して簡単な道のりではない。たとえばゲーム実況1つを取っても、「面白い」と前向きな評価だけでなく、本当にそれができるのか。むしろ寄せられるのは否定的な声の方が多かった、と振り返る。


「ナイターに関しては、16−17シーズンからずっとやりたいと言い続けてきましたが、社内でも『本当に大丈夫か』と。でも、大丈夫かどうかは実際やってみないと分からないわけじゃないですか。新しいことを始めようとする時は『今までやったことがないからダメだよ』と言う人の方が多いし、相手チームも通常の昼開催の試合とは異なる面も多いので、理解してくれるまで難しかったと思います。


 だけどそういうところに挑戦していかないと、今の状況は打破できない。あれが成功かどうかはまだ分かりませんが、やったことはよかったと思っていますし、だからこそ、ここからはまた新しいことを取り入れていきたいし、いかなきゃダメだと思います」

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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