高橋大輔「フィギュアという軸が必要」 現役復帰会見 一問一答
4回転を2種類2本は入れられるように
当面の目標は12月の全日本選手権。羽生や宇野には「勝てる気がしない」と言いつつも、「最終グループで一緒に練習したい」と希望を語った 【写真:坂本清】
そうですね。自分の頭の中では国際大会は考えていないです。いろいろな状況の中で、自分の気持ちとして変化があるかもしれないですが、世界というより日本の中で自分自身がどこまで戻れるか、成長できるかという戦いになってくると考えています。
――ジャンプはどのあたりまでを目標にしますか?
4回転は……2種類2本くらいは(笑)。それは飛べるようにならないといけないかなとは考えています。ジャンプも練習していく中で現役の後半よりいいというくらいまで戻っているので、もしかしていけるんじゃないかという可能性は見えてきています。ただあんまり急にやり過ぎても体に支障が出てくると思うので、焦らずゆっくりやっていきたいと思います。ただ感触としては良い感じできています。2種類2本くらいは入れられるようになりたいですね。
――ソチ五輪のシーズンを「やり切れなかった」というのが現役復帰に至った理由の1つとおっしゃっていましたが、それを胸に気持ちを奮い立たせているのですか?
4年間ありましたが、前半の2年は全く現役なんていう言葉も頭に浮かばなかったですし、実際やり切れていなかったという思いの中で4年間を過ごしていたわけではないです。ただ特に昨年の1年間でそういう思い、やり切れていなかったのかなということに気づき始めたかもしれないです。
――昨年末の全日本選手権の後には平昌五輪もありました。復帰したいという思いを持ちながら、後輩たちの活躍はどういう気持ちで見ていたのでしょうか? また後輩たちの活躍はご自身に大きな影響を与えたのかを教えてください。
平昌五輪のときはただただ応援する気持ちで見ていて、自分が現役に戻るにしても、トップの選手たちとは一緒に戦えないだろうと。彼らは別次元のところにいると思っていたので、そこは切り離して、全く別の気持ちでいたと思います。ただ、思い切りやった後に悔しがっていたり、喜んだりとか、そういう姿はやっぱりいいなと感じて、それを自分自身でももう一度味わいたいという意味では刺激になったし、どうせやるならそういう喜びの中で終われたらいいなとは思うようになりました。
――4回転を2種類2本とおっしゃっていましたが、そのレベルまで戻せたら、欲として世界を見たいと思えるようになってくるのでは?
今の時点では考えられないです。もしチャンスがあるなら、そういうところも考えたいですが、国際大会に出られるとしてもそこに自分が出るべきなのか。今後のことを考えると後輩たちが活躍をしないといけないですし、その後輩たちの邪魔をしてはいけないという気持ちもあるので、もしそういう結果になったとしたら、それも含めて先を決めていきたいと考えています。
楽しみな気持ちがすごくある
きっかけというか、刺激にはなりました。結果はいち国民として素直に喜んでいました。現役選手に戻るであろう自分として見ていたことはないです。五輪を目指すということは全く自分としても見ていないので、そこは切り離していたと思います。
――膝の痛みなど現役最後のころは満身創痍でした。今の状態はどうなのですか?
手術の影響は少なからず今でもあります。そういうケアをしつつ、1度けがをするとそのケアはずっと付いてきます。そこは調子を見つつ、けがをした部分が良くなることはないので、現役時代のときよりダンスをやらせてもらって体の変化もあるし、今までは筋力トレーニングはやらなかったのですが、膝を補強するために筋肉をつけなければいけないし、筋力トレーニングをやり始めて現役のときとは違う作り方をしているので、全く別の体でやっている感じはあります。
――全日本選手権には五輪の金メダリスト、銀メダリストがいますが、勝ちたいという思いはありますか?
それは勝てるものなら勝ちたいと思いますが、正直勝てる気は一切していないです(笑)。ただ、練習している中でその自信がついたら、思い切りくらいついていきたいなと思っています。
――楽しみな気持ちが大きいのでしょうか?
そうですね。不安な気持ちもありますが、楽しみな気持ちもすごくあります。チャレンジャーとしていくので、勝てなくて当たり前ですし、金メダリストや銀メダリストに勝てないだろうという中でやっていけるので、勝てればもうけものくらいです(笑)。それくらい彼らは別次元。誰が見ても彼らは世界を引っ張っている2人です。一緒に戦える位置までいけるか分からないですけれど、全日本選手権の最終グループに入って、一緒に6分間練習や公式練習をしたいなという気持ちはあります。