バドミントン新ペアの福島/松本「フクヒロ、ナガマツでは届かなかったところ」目指す挑戦開始
福島由紀(右)と松本麻佑、新たなペアでの挑戦がスタートした 【平野貴也】
バドミントン女子ダブルスで新たにペアを組んだ福島由紀(岐阜Bluvic)/松本麻佑(ほねごり)は、デビュー戦となった熊本マスターズジャパンで、いきなり準優勝の活躍を見せ、大きな可能性を感じさせた。初戦を勝った後、松本は「フクヒロ、ナガマツでは届かなかったところまで、2人で4人分、目指せればと思います」と大きな目標を掲げた。ともに五輪に出場してベスト8まで進んだペア。世界選手権の決勝戦で2度対戦したペアでもある。2組が届かなかったところは、五輪の表彰台だ。
初戦敗退の可能性も否めなかったが……
しかし、大会開幕の2日前には、国内のS/Jリーグ秋田大会で行われた岐阜Bluvicと北都銀行の試合の第1ダブルスで対戦。当然、試合前は互いに所属チームで練習していたため、2人で連係を確かめる時間はなかった。移動による疲労を考えれば、ホーム開催の有利も揺らぐ。10月に数日練習をした程度の準備では、いくら個々の力があっても、世界の強豪に挑むのに十分なわけがない。
初戦の相手は、パリ五輪4位のタン・パーリー/ティナ・ムラリタラン(マレーシア)。福島は、出身地である熊本での試合だったが「1回戦から強すぎる相手。正直、弱気だったので、知り合いには、一番大事な試合だから、初戦を見に来てほしいと言っていた」と明かした。
いきなり、パリ五輪4位に勝利
世界選手権の決勝で2度対戦した2人は、チャンピオンシップポイントの奪い合いを経験している。互いの粘り強さを信頼するには十分な経験があった。ともに追い込まれても前向きな姿勢を崩さず、即席ペアに負けたくない相手にプレッシャーを与えると、女子の世界最速スマッシュのギネス記録保持者であるタンがミスを連発。福島/松本が5連続得点で逆転した。20オールで追いつかれたが、23-21で振り切って粘り勝ち。最後にネット前からプッシュを決めた福島は「あんなにキャッキャと喜んだのは、初めてじゃないかと思います」と笑顔を見せ、大きな可能性を感じた試合の手ごたえを語った。
以前とは逆パターン、松本が前衛に意欲
長身の松本がネット前に立ちはだかり、相手の打球を捕まえた 【平野貴也】
今大会では、2回戦で松本が前後の動きに迷いが生じたことを明かしたが、3回戦からは松本が前に出る形を明確に増やした。準々決勝を勝った後、松本は「私が前で福島さんが後ろというパターンを作りたいなと思っていた。コーチも含めて話した。自分も(永原とのペアで)後衛の方が長かったので(前に)行くところ、行かないところの判断が難しいところもあって、試合を重ねていくうちにちょっとずつ良くなっているのかなとは思うので、もう少しこの形を固めていければと思う」と新たなプレーへの挑戦に意欲を見せていた。
世界ランク8位の中国の若手ペア、李怡婧/羅徐敏(リ・イージン/ルオ・シューミン)を破った準決勝でも、身長177センチの松本が、ネット前で相手の打球を捕まえる場面が多かった。ネット前にいる松本が腕を伸ばす高さ、長さをかわそうとする相手の球が甘くなると、福島が強弱をつけた球でさらに追い込み、逃げ切れなくなった相手の球を松本がたたき落とした。福島は「私が(後衛から打つ球で)しっかりとコースを突ければ(長身の)松本が前にいるだけでも(低い返球はできないという)威圧感、プレッシャーが相手には絶対にある。そこで相手が迷う場面もあると思う。この形もいいなと思うし、松本が後ろから打つ逆のパターンでも、私が前で捕まえられるように、もっと頑張りたいとも感じた」と一つの得点パターンの確立に手ごたえを示した。ただ、決勝戦ではパリ五輪銀メダルの劉聖書/譚寧(リュウ・シュアンシュ/タン・ニン=中国)に完敗。第2ゲームは5点しか奪えず、さすがに世界のトップに並ぶのはまだ早いと現実をたたきつけられた。