日本のスクラムは「200%進歩している」
“相思相愛”のジョージアに完勝

スクラム強国のジョージアを28対0で破る

31歳で日本代表初キャップを獲得したFL西川征克
31歳で日本代表初キャップを獲得したFL西川征克【築田純】

 ラグビー日本代表が“ライバル”のスクラム強国を初めて零封し、確かな成長の跡を見せた。6月23日、約450日後にワールドカップ(W杯)を控えた「ブレイブブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)」は、6月のテストマッチ(国際試合)3連戦の締めくくりとしてジョージアと対戦、3トライを挙げて28対0で勝利した。


 6月の初戦はイタリアに34対17で快勝、2戦目もイタリアと対戦したが22対25と惜敗。日本を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、ジョージア戦に向けて、W杯を想定し「2戦終わって1勝1敗。この3戦目を決戦として捉えている」と言いつつ、「選手たちは強い精神力を持って乗り越えてくれるのか、やり返してくれるのかを見たい」とメンタル的な奮起にも期待を寄せた。


 また2015年W杯で2勝を挙げ、昨年はアイルランド(世界ランキング2位)を6対13と追い込んだ、成長著しい「レロス」ことジョージアはスクラム強国として名高い。そのため、ジョセフHCが「ジョージアは伝統的に体が大きく、フィジカルでセットプレーに強みを見せる。今回だけでなく、他国は日本に対して体格差があるので、絶対にセットプレーで狙ってくるのがゆるぎない現実です。そこが常に我々のチャレンジになる」と意気込んでいた。

ジョージア代表HC「相互利益のあるいい関係」

FB野口竜司は安定したキック処理でチームに貢献した
FB野口竜司は安定したキック処理でチームに貢献した【築田純】

 12年、エディー・ジョーンズ前日本代表HC(現・イングランド代表HC)時代から、両国はいいライバル関係にある。互いにティア2(伝統的な強豪国をティア1と呼び、その下位にいるチームの総称)のチームで、12年からジョージアを率いるミルトン・ヘイグHCの言葉を借りると「相思相愛というか、相互利益のあるいい関係を築き、それを保つことができている」という。


 日本は体の大きな、セットプレーから展開してくるようなチームと試合がしたかった。一方のジョージア(当時はグルジア表記)はスピードがあるチーム、ボールを展開してくるチームと戦いたかった。需要と供給がマッチし12年に対戦が実現。エディー体制1年目にアウェイで対戦し、セットプレーには苦しんだが、日本代表が25対22と僅差で勝利した。


 14年もアウェイで対戦し、スクラムとモールで劣勢となり24対35で敗戦。さらに15年W杯直前に対戦し13対10で勝利、スクラム、モールで大きな自信をつけて、南アフリカ代表撃破の快進撃につながった。またジョセフHCが就任した直後の16年11月にも対戦し、キックをうまく使ったアタックで28対22と逆転勝利し、新しい日本の形を見せた。

セットプレーの安定、激しいディフェンスで優位に

激しく当たってくるジョージアを相手に、日本は鋭いタックルで前に出た
激しく当たってくるジョージアを相手に、日本は鋭いタックルで前に出た【斉藤健仁】

 1月から活動しているサンウルブズで長谷川慎コーチ、ジョセフHCの下、継続して強化してきた日本のセットプレーが、「イタリアより1ランク上」(PR稲垣啓太)というFW強国にどこまで通用するのか。来年のW杯でアイルランド、スコットランドという欧州勢との戦いが決まっている日本にとっては大きな試金石になる。

 リーチ マイケル主将も「ジョージアは今まで対戦した中でフィジカルが一番で、スクラムやモールといったセットプレーで自分たちがどれくらい成長できたかがわかる」と腕をぶしていた。


 ジョージアの先発FW8人は、サンウルブズのHOジャバ・ブレグバゼを筆頭に全員がフランスやイングランドなどでプレーする国外組で、ジョセフHCは激しい肉弾戦に備えて、控えFWを5人ではなく、6人にして挑んだ。


 日本はジョージア戦を通じてセットプレーを成長させてきた歴史があり、今回の試合もセットプレーが勝負の鍵を握ることは自明だった。雨の中、日本代表がノックオンをすればスクラムとなり、そこで反則を犯し、エリアを取られ、ゴール前でモールからトライを許す悪循環にだけは陥りたくなかった。


 前半から日本はプレーを切るタッチキックではなく、コンテスト(相手と競る)キックを使って、「ボールインプレー」を増やそうと臨んだ。一方のジョージアは雨の試合ということで、キックでエリアを取ることを主眼に置き、セットプレーを増やし、自分たちの土俵に引きずり込もうとしていた。


 試合は徐々に日本のペースに。大きかったのはスクラム、ラインアウトともにマイボールをキープすることができたことと、雨の影響を受けて単調になったジョージアを前に出るディフェンスで倒し、タックル後のボール争奪戦に入るスピードでも勝つことができたことだ。SO田村優、FB野口竜司がPGを決めて9対0で前半を折り返す。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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