高校バレー界注目の“妹”たち 成長の秘訣は最も身近にある大きな目標!?

月刊バレーボール
 5月には全日本ユース女子がアジアユース選手権大会(U−17)で7連覇、6月は同ジュニア女子もアジアジュニア選手権(U−19)を制した。また、7月下旬からは夏の全国大会、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)が開催されるなど、季節の訪れとともにホットなバレーボールの高校生世代。今シーズンを彩る、また将来を有望視される女子選手たちに目を向けると、一つのキーワードが浮かび上がる。それは、“妹”だ。

日本バレー界における、姉妹や双子の例

全日本男子のエース石川祐希を兄に持つ真佑(4番)は世代を代表するヒロイン 【月刊バレーボール】

 兄や姉が取り組む競技に、その弟や妹も身を投じる例は、バレーボールの世界でも例外ではない。競技を始めたきっかけを聞けば、「兄や姉のお迎えについていくうちに興味を持った」「応援にいって、そこで憧れを持った」といった声が挙がる。

 そして、これまでも日本バレーボール界では、姉妹プレーヤーが同じコートに立つ、またネット越しに相対するシーンは幾度となく見られてきた。

 記憶に新しいのは木村沙織・美里姉妹だろうか。それぞれ昨年と今年の春、現役を引退。出身校を名門・下北沢成徳高(東京)と同じくし、東レアローズでは一緒にプレーした。姉の沙織は、言わずと知れた日本バレーボール界を代表するヒロイン、妹の美里はレシーブ力の高さが光ったプレーヤーだった。

 その東レでは、大山加奈・未希の姉妹が在籍していた前例も。こちらも姉の加奈は、栗原恵(JTマーヴェラス)と「メグ・カナ時代」を築いた名プレーヤーで、妹の未希はのちにビーチバレーボールでも活躍した。出身校は共に下北沢成徳高(当時は成徳学園高)だ。

 姉妹だけでなく、双子のケースも記したい。現役選手では、大野果歩・果奈がその一例。古川学園高(宮城)時代にはチームメートとしてプレーし、インターハイと国体の高校2冠を達成。卒業後は果歩が東レ、果奈がNECレッドロケッツに進み、互いに第一線に立つ。

古川学園高時代、全国の舞台で注目を集めた大野ツインズ 【月刊バレーボール】

 双子姉妹でいえば、西堀健実・育実も、大野姉妹と同じく古川学園高(当時は古川商業高)で全国大会を制し、裾花中(長野)でも全国制覇を成し遂げた実績を持つツインズだ。健実は現在ビーチバレーボールで、育実は地元の長野県で昨年春に発足したルートインホテルズ・ブリリアントアリーズに活躍の場を移している。

石川真佑の負けず嫌い度は兄を超える!?

 さて、今の日本バレーボール界で名実ともに有名な、こちらは「兄妹」から。全日本男子のエース石川祐希を兄に持つ、真佑は今シーズンの高校バレー界で最注目のヒロインだ。

 現在は下北沢成徳高3年で、キャプテンを務めると同時に、チームの絶対的エースを担う。中学時代には裾花中で全国制覇を遂げ、3年生時にはJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗大会(JOC杯)で最優秀選手賞を手にした。世代を代表する選手として名を挙げたのち、かねてより憧れていたという黒後愛(東レ)がいた下北沢成徳高へ進学。すると高校1年生時からレギュラー入りし、ルーキーシーズンで高校2冠に大きく貢献した。前述の大山姉妹や木村姉妹を指導してきた同校の名将・小川良樹監督をして「天才」と言わしめる、そのポテンシャルの高さを高校のステージでも存分に発揮している。

 彼女は何といっても、大の負けず嫌い。今年1月の全日本高等学校選手権大会(春高)では準決勝で敗れ、悔しさをあらわに試合が終わるや大粒の涙を流していた。そんな、注目されるようになった妹の姿をテレビ番組で目にした際、「悔しかったです、と言いながら泣いていて、びっくりしました(笑)」と兄の祐希はいたずらっぽく話す。幼少期は「ちょっかいをかけて、よく泣かせていた」そうだ。

 反対に、高校時代で2年連続3冠の偉業を達成し、いまや日本を代表するバレーボーラーとなった兄を、真佑はこう語っていた。

「家族で身近な存在だから、すごい、という感情はそれほど。ですが、プレーを見ていると、自分もできるようになりたいな、って。超えられるように頑張ろうと思います」

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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