バレー界のネクストヒロイン・中川美柚 憧れの東京五輪へ向け、成長を止めない

月刊バレーボール

春高で東九州龍谷の準優勝に貢献した中川美柚。全日本に初選出されたバレー界のネクストヒロインを紹介する 【月刊バレーボール】

 3月19日に日本バレーボール協会が発表した2018年度全日本女子バレーボールチームの登録メンバー29名。その中には昨年、全日本ジュニアとして日の丸をまとい戦った選手たちの名前があった。

 今回は黒後愛(東レアローズ)や荒谷栞(NECレッドロケッツ)ら2017−18シーズンのV・プレミアリーグを彩ったルーキーたちに続く、“全日本のフレッシュな顔”、中川美柚(久光製薬スプリングス)を紹介する。

トップカテゴリーでの合宿は緊張の日々

「合宿の前は不安の方が大きかった」という中川。トップカテゴリーでの合宿は緊張の日々だった 【写真は国際バレーボール連盟より】

「名前を呼ばれて、本当にびっくりしました。たくさんの方が久光製薬から全日本に選ばれていて、すごいメンバーの名前が呼ばれる中で、自分の名前が聞こえたときは『えっ!?』と思いました。全然、想像もしていなかったです」

 全日本合宿への招集が告げられた時の様子を、中川はそう振り返った。

 主将を務める岩坂名奈を筆頭に、新鍋理沙、石井優希、長岡望悠、野本梨佳、今村優香、井上愛里沙、戸江真奈、そして中川。久光製薬からは総勢9名が登録メンバーに入った。17−18シーズンのVリーグを制した彼女たちは、その大半が昨年8月に行われたアジア選手権の優勝に貢献するなど、日の丸を付けても確かな実績を残しているメンバーばかりだ。

 中川は今年1月、東九州龍谷(大分)で春の高校バレーで準優勝を果たしたのち、2月中旬に内定選手として久光製薬に合流した。Vリーグのシーズンが大詰めの中、チームの一員として過ごしたことで、試合への出場機会はなかったが、「たくさんのことを見て学べた」と、1つ上のステージを直に味わった。

 そうして、今年度は全日本に登録された。自身にとって初めてとなる、全日本のトップカテゴリーでの合宿が始まり、中川は緊張の日々に身を投じていた。

「毎日、何をすればいいか分からないので。緊張しかないです。合宿の前は不安の方が大きかったですね。プレー面もそうですし、久光製薬にも入ったばかりで、Vリーグの雰囲気もまだそれほど……。こんな状態で全日本に行って大丈夫かな、という思いでした」

 合宿では、全日本ジュニアで共に戦った荒谷と同部屋になり、初選出同士、会話に花を咲かせた。「何が何だか、お互いに分かっていなくて(笑)。どうしたらいいの? やばいねと言いながら、たくさん話をしていました」

小さい頃からの夢は「全日本に入ること」

中川は若くからその将来を有望視されていた(写真はJOCジュニアオリンピックカップのもの) 【月刊バレーボール】

 実業団でプレーした経験のある親を持ち、小さいころからバレーボールにはなじみがあった。テレビで試合を見ていても、それが全日本かは分かっていなかったが、それでも夢は何かと聞かれれば、「全日本に入りたい」と書いていた。「その頃は意味も分からず書いていたんだと思います」と、中川はほほえむ。

 岡崎南中(愛知)時代には、すでに身長は180センチに迫るほどで、高い打点を生かしたスパイクにテクニックを兼ね備えていた。そのポテンシャルを高く評価され、全日本ユースに選出された。中学3年生時にはアジアユース選手権大会(U−17)のメンバー入りを果たし、大会ではいずれも先発出場し、ミドルブロッカー賞で2位に輝いた。

 そして、その年の集大成となるJOCジュニアオリンピックカップ 全国都道府県対抗中学バレーボール大会では個人賞の「オリンピック有望選手」に選出された。その当時の取材では、手書きで「(五輪に)出場してメダルを取りたい」というメッセージを残した。

 とはいえ、ハッキリと全日本のトップカテゴリーを最大の目標に設定したのは、少し先のことだ。「高校に入って、全国の舞台に立つようになってから、(全日本への憧れを)持つようになりました」。同年代を代表する選手として実績を挙げていた中川が進学先に選んだのは、高校バレーボール界の名門・東九州龍谷だった。

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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