ミドルレンジ・シュートの職人、永吉佑也 京都ハンナリーズの窮地を救えるか!?
CS初出場の立役者、スミス
【B.LEAGUE】
ボールと人を動かし、ゆっくりと、ただ確実にディフェンスのひずみを作り出すヘッドコーチ(HC)の考えを見事に体現できる存在が、恵まれた体格をフル活用し、今季の京都にリーグトップクラスのペイントアタック力をもたらすのに時間はかからなかった。ボーリングのピンのように相手選手をなぎ倒すパワープレーでダンクをたたき込めば、華麗なステップワークと柔らかいタッチでリバース・レイアップまで決めてみせる技巧派の側面も持ち合わせる。
今季彼よりもポストプレーを多く仕掛けた選手は得点王のダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックスBB)ただ1人。今季200回以上ポストプレーからシュートに持ち込んだ選手は13人いるが、スミスは3番目に高い得点効率を残しており、京都はポストで彼にボールさえ渡すことができればかなりの確率で得点が期待できる算段が立つ。
さらに直接記録する2.1アシストはもちろん、間接的な波及効果としてチームのシューターたちのキャッチ&シュートがリーグ2番目に高い頻度でノーマークになるという結果にも表れている。
それだけではない。今季のBリーグで京都は最も多く相手チームからファウルを誘い、最も多くのフリースロー獲得に成功している。これはデータをCS出場チームとの対戦に限っても同じで、平均19.8本は8チームの平均よりも約3本も多い。これもスミス効果であることは言うまでもない。先ほど紹介したポストプレーの猛者たち13人のうち、最高となるポストプレーの25.7%でフリースロー(FT)を獲得。シーホース三河の桜木ジェイアールや、川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカスが20%を超えないと言えば往年の国内バスケファンも唸るだろう。
外国人コンビでフリースローを量産
シーズンが終わってみれば、2人のFT獲得数はチームの54.24%を占める。他のCS進出チームで、2人の選手がこれほど占めるチームはない。FTをもらう圧倒的な力、4Qの終盤FT試投数でもスミス98本、マブンガ97本はファジーカス98本と並んでリーグ屈指だった。
ファウルを誘えば相手のベストプレーヤーがコートに立てない状況も生み出せる。コーチによっては、ファウルを得ることがオフェンスでできる最善のアクションと考える人もいる。相手のチームファウルがかさめば、京都の日本人選手たちもプレッシャーのかかるCSで積極的にプレーすることができるだろう。
鍵は永吉のミドルレンジ・シュート
198センチ115キロというこちらも恵まれた体格を持ち、今季はキャリア最高平均26.8分(31節終了時点、以下データ同)もの出場時間を勝ち取っている永吉。ビッグマンにして3ポイントシュートを34%の確率で沈めており、成功数も46本に到達。昨季のトータルだった6本は開幕4試合目で軽く通過した。
さらに興味深いのは、リーグ平均で37%の成功率にとどまるロングレンジの2ポイントシュート、通称ミドルレンジ・シュートの確率が43.4%と非常に高く、エンドラインと平行にポジションするショートコーナーからは両サイドが50%と特に高くなっているのだ。
CSでより強固なものとなる各クラブのディフェンスは、ペイントか3ポイントラインを守るという的を絞ってくる。その両方のオプションが奪われた時、永吉のミドルレンジを決める力が必ずチームに新たな息吹を吹き込むだろう。個性派集団をつなぎ止めるリーグ屈指の潤滑油となれるか。献身的な永吉のプレーに、見るもの全てが心を奪われることは間違いないだろう。
※注釈のないデータはすべて第27節終了時点のものです。
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