シーホース三河のスコアリング三銃士 Bリーグ最高勝率を引っさげ、CSへ挑む

佐々木クリス

金丸、比江島、桜木が半数以上のシュートを放つ

【(C)B.LEAGUE】

 日本が誇るオフェンスマシーン、シーホース三河。リーグ最高勝率を引っさげて、12日からのBリーグ・チャンピオンシップへと挑む。

 頻度と決定力共にリーグナンバー1のポストプレーを起点にした三河の攻撃は、わずかでも生じたアドバンテージを決して見逃さない。まさに百戦錬磨、一騎当千(いっきとうせん)のタレント軍団だ。

 そんなチームにあってもライバルたちが特に恐れを抱く存在が3人もいる。桜木ジェイアール、金丸晃輔、比江島慎……名前を挙げるだけで背筋が凍る3人は、合計でチームの69.12%ものシュートを放っている。これはCS出場チームのトリオとしては最高値だ。そしてその得点能力こそが最大の強みであり、相手を40分間のプロセスで押しのけるレバレッジとなっている。

 まず41歳の桜木は、ポストプレーからのシュート回数が363回とリーグで4番目に多く、200回以上ポストアタックをしている14人の選手のうちその得点効率が5番目に高い。バスケットボールで1回あたり1点を期待できる攻撃が「良い攻撃」とされるが、当然上回っている。対戦相手が2人掛かりで抑えにいくことを誘うような桜木の駆け引きはIQが高く、止めるのは至難の業だ。

 チーム関係者の間では、彼をリーグMVPに推す声も大きい。桜木はポストプレーを活用し、今季チーム最多の1試合平均5.3アシストを記録。特にゲームの入りとなる1Qと後半3Qに1.7、1.9本を記録し、勝負どころの4Qでも1.1本をしっかりと供給し、リーグナンバー1のオフェンスをパスでも支えている。

日本屈指のシューター金丸

 そのボールがシューターとして日本で3本の指に入る金丸に渡れば、守備は最善を尽くして神々の慈悲を乞うしかない。彼が味方のスクリーンを使って外郭で放ったシュートは261回と、リーグで2番目に多い横浜ビー・コルセアーズの川村卓也よりも90回も多い。さらに100回以上このような状況からシュートを打ってきた名手は8人に限られる中、金丸はその3位に位置する得点効率をたたき出している。

 彼ら3人の攻撃を芸術の域にまで高めている肝は、決して互いの“刃圏”を邪魔しないこと。金丸から離れず、ピタッとディフェンダーがくっつきたいと思えば思うほど、桜木が普段以上に与えられたリング周りのスペースを利用してポストから1対1を自在に仕掛けられる。一方で桜木に意識がいってしまえば、即座にボールを供給され外から射抜かれる。三河はタレント力のみならず、極めてアンセルフィッシュな戦い方で、プレーヤー同士の足し算ではなく、かけ算を見事に実現しているのだ。

 しかしBリーグ初年度である昨季は、宇都宮の地でCS準決勝を3戦し、栃木ブレックス相手に涙をのんだ。天皇杯も2年連続で千葉ジェッツに敗れたが、いずれの敗戦も対戦相手があえて桜木を1対1で守り抜くことを選択し、シュートを決めることの次に攻撃にとって重要な数的優位を奪う典型パターンを奪われてしまった。

困った時のエースの存在

 そんな状況を打開できるのも、オフェンスマシーンのラストピースとなれるのもこの漢しかいない。比江島だ。シーズン中、チームが困ったときの最終手段である1対1からシュートを放ってきた回数はチーム最多であり、ポストプレー以外の起点としてのピック&ロールからのシュートはチームで2番目に多い橋本や金丸よりも140回も多い197回。それだけではなく、4Qに三河の選手で最も多く得点を挙げている(201点)。CS出場の日本人選手ではただ1人レギュラーシーズン4Q累計で200点以上を挙げた。

 バスケを初めて観戦する者をも惹き付ける彼の妖艶な身のこなし。催眠術をかけているのではと疑うステップワークにボールさばき。彼のスキルと得点力は国際試合やアジア圏でも知れ渡っている。それでも昨季の悔しさは忘れていない。残り21秒まで初代王者をリードしていたあの日を。Bリーグの玉座を三河に移すためにも、ライバルたちにとどめを刺すのは彼でなければならない。エースとして。

※データはすべて第27節終了時点のものです。
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