NBA規格外の“ギリシャの変わり種” アデトクンボを突き動かした「恐怖」
コービーらも「MVPの器」と太鼓判
コービーやデュラントも「ヤニスはMVPの器」と太鼓判を押す 【Getty Images】
棒のように細かった腕をトレーニングで鍛え上げ、更に60センチ以内の距離で守備につかれた場合のシュート成功率が、新人だった13−14シーズンで49.4%のところ、今季は66.8%と接触を受けても「蹴散らし」ていることが分かる。また「フリーク」のように長いストライドでユーロステップをお見舞いする技術もさらに高まっているのである。
圧巻は恐らく現役ではヤニスしかできないであろう、速攻中に対戦相手を飛び越えてダンクを決めたこと。誰もが空いた口がふさがらなかった。
すでに引退したコービーやリーグMVP獲得経験のあるウォリアーズのケビン・デュラントも「ヤニスはMVPの器」と太鼓判を押すが、華々しい舞台とは無縁で育ったヤニスについてあまりにも有名なエピソードがもうひとつある。
14−15シーズンの終盤、当時HCを務めていたジェイソン・キッドがヤニスをあえて起用しないゲームがあった。それに対し怒り心頭のヤニスは、「こいつキャリアで何を成し遂げた奴なんだ」とスマートフォンを手に取りキッドをネット検索。そこには「新人王、NBAチャンピオン、米国代表五輪金メダル、キャリアアシスト歴代2位、3ポイント成功数歴代5位(当時、現在は9位)うんぬんかんぬんと書いてあって、おったまげて『どうやってこんな人に対抗できるんだろう』って思ったよ」と思いを改めたそうだ。
米国に来る前にはポイントガードを任された経験があったものの、正真正銘のオールラウンド・ポイントガードへと変ぼうした陰には、前HCの功績も計り知れない。
愛くるしい笑顔と人柄が本当の贈り物
米国に移り住んだころ、車の運転など何から何まで初めて尽くしだった。弟の大学入学は自らの運転で引っ越しを手伝い、今でも家族を近くに置く。外に出ればちょっぴり内気だが、ジョークが大好きな青年は、冗談抜きでプレーオフでの勝ち上がりを狙っている。
今季は試合後の全米各地のアリーナで、ヤニスが何百ものファンに囲まれてギリシャ国歌を口ずさむ光景がしばしば見られた。本当の贈り物や才能は、手足の長さや一度聞いたら忘れられない「グリーグ・フリーク」と韻(いん)を踏んだニックネームでもない。一目見たら忘れられない愛くるしい笑顔と、人々をつなぐ彼の人柄だ。プレーオフではスポーツを通じて人々が人生を謳歌(おうか)する、そんな合唱を聞かせてくれるに違いない。
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