早くも今季のNBA新人王が決定!? あなたの知らないベン・シモンズの真実

佐々木クリス

今季のNBA新人王に最有力のベン

16年にドラフト1位指名を受けシクサーズ入りを果たしたベン・シモンズ(右) 【Getty Images】

 ミルウォーキー・バックスのヤニス・アテトクンボ、ニューヨーク・ニックスのクリスタプス・ポルジンギス、ミネソタ・ティンバーウルブズのカール・アンソニー・タウンズ。

 もはやNBAファンにはなじみの名前ばかりだが、現役最強とうたわれるレブロン・ジェームズを筆頭とする黄金の2003年ドラフト組が、いまだにスター性を欠くことなくプレーし続けているとはいえ、世代交代の波が確実に迫っている。

 その中でも今回はレブロン自ら後継者と認めている節がある、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのルーキー、ベン・シモンズに迫りたいと思う。

 本名ベンジャミン・デイビッド・シモンズは1996年7月20日オーストラリアはメルボルン生まれの21歳。2016年ドラフト1位指名を受け、アンドリュー・ボーガット、カイリー・アービング以来、3人目のメルボルン生れのドラフト全体1位指名選手となった。

 NBAキャリアに備えて高校から米国に移住していたベンは、オーストラリアでプロバスケットボール選手キャリアを過ごしたニューヨーク出身の父を持ち、まさに道筋通りにNBAまで上り詰めたと言っていい。

 しかし、いよいよ待望のデビューかと思われた16年9月末に、右足の捻挫と同時に骨折もしてしまう。年々高い順位で新人を指名しながら、けがでの離脱が続いたことを知るファンからは「シクサーズは呪われているのか?」と声が漏れるほどだった。

 初見では全治3〜4カ月と診断されたけがだったが、結局球団は16−17シーズン、ベンの全休をアナウンス。お披露目は17−18シーズンへと持ち越されたのであった……。

 17年のドラフトは豊作とされ、サマーリーグ直後や、NBA開幕直前まで、新人の話題といえば、マーケル・フルツ、ロンゾ・ボール、ジェイソン・テイタムの名前ばかりを聞いた気がする。

 しかし、開幕から1カ月弱。もはや今季の新人王はベンと断言していい(NBAでは本来ルーキーとして過ごすシーズンで1試合もプレーしていなければ、翌シーズン新人王受賞の権利を有する)。なぜ、そこまで言えるのか? ここからは、「あなたの知らないベン・シモンズ5つの真実」をご紹介したい。

(1)突出した今季の平均スタッツ

 今季の平均スタッツは18.5得点/9.1リバウンド(R)/7.7アシスト(A)※11月24日時点(日本時間)

 この数字からも、見事なオールラウンダーぶりで、新人としては突出していると感じていただけるはずだ。しかも、今季のNBAで17点/8R/7A以上を同時に記録している選手はオクラホマシティ・サンダーのラッセル・ウェストブルックとベンだけなのだ。

 ウェストブルックといえば、言わずと知れた昨季のリーグMVP。1961−62年のオスカー・ロバートソン以来のシーズン平均トリプルダブルを記録した、歴史的な選手に肉薄するパフォーマンス。あのレブロンは8Rにわずか届いていないのだが、ベンが“ネクスト・レブロン”と呼ばれるゆえんも分かっていただけたと思う。

 ちなみに、あのマジック・ジョンソンのルーキー時のスタッツ、18点/7.7R/7.3Aと酷似している。往年のNBAファンも注目に値するプレーヤーと言っても過言ではない。しかもドラフト時から身長がさらに伸びて、今では208センチよりも213センチに近いとも言われる。チームメートのカリーム・アブドゥル・ジャバーがけがで欠場した試合でセンターまで務めた206センチのマジックを軽くしのぐサイズの優位性もベンは持っているのだ。

 すでにメンフィス・グリズリーズのデイビッド・フィズデール前HCも「向こう15年ベンと対峙(たいじ)したくはない」と頭を抱えるのも無理はない。

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