今年のNBAオールスターは一味違う!? 新たな息吹を吹き込んだドラフト制度

佐々木クリス

今年から導入された新たなチーム分け

昨年のNBAオールスターの様子。今季からはドラフト制が導入され、話題になっている 【提供:WOWOW】

 2018NBAオールスターゲームのチーム構成が発表になりましたね。すでに世界中で、どちらのチームの方が強いのか? と話題になっています。今年から導入された新たなチーム分けが功を奏して話題性も十分、期待感をあおってくれますね。

 これまでは伝統的にイースタン、ウエスタンのカンファレンスごとのチーム分けで争われてきたオールスターゲームですが、昨年は192−182で西が勝利と、あまりにもノーガード過ぎて、試合そのものの魅力が年々低下しているとの声が大きくなっていました。実際に、昨年のオールスター終了後には選手会会長のクリス・ポールが関心の低下を危惧(きぐ)するコメントをしており、コミッショナーのアダム・シルバーも話し合いに乗り出し、実現したものです。

 それが、新たな刺激を入れる新方式!

 各カンファレンスで最もファンからの得票数の多かった2名、レブロン・ジェームズ(以下レブロン)とステフィン・カリー(以下カリー)をチームキャプテンとし、2名がカンファレンスの枠を無視して、スターターに選考された残りの8名から順に、コーチ選出のリザーブ14名までを選んでいくというもの。

 米国でバスケをしたことのある方はピンと来たのではないでしょうか。寄せ集めの10人(見ず知らずの場合も含め)で試合をするピックアップゲームで、2人の選手が順番に欲しい選手を指名して行く方式。このドラフト制を取り入れたことが、今年の大きな変化でしょう。

 最初に指名が許されたのはファン投票全体1位のレブロン。その後はカリーと交互に指名を進め、規定上はスターター10人の選考が全て終わったら、次はカリーの指名からリザーブのピックを始めると言うもの。全体でいえば8番目指名と、9番目指名の権利はカリーにあったということになります。ということは、21番目指名をカリーがするため、24人のオールスター中、最後の1人は自動的にチーム・レブロンに……。選考はブラックボックスで行われるため、誰かは分かりません。

両チームとも“ガチンコ”勝負が見たくなる構成に

レブロン(右)とカリー(左)がそれぞれ選んだメンバーは? 【Getty Images】

 では早速、両チームのラインナップを見てみましょう。
 注目度が上がって、どのくらい試合の真剣味が増すのかは分かりませんが、“ガチンコ”勝負も見たくなるメンバー構成になりましたね。

 レブロン、カリー以外では最高のプレーヤーであるケビン・デュラント(以降KD)を引き込めたレブロン。チーム的にはサイズもあり、シュート力と機動力のチーム・カリーを一歩リードか。アンソニー・デイビス&デマーカス・カズンズ(共にニューオーリンズ・ペリカンズ)、ブラッドリー・ビール&ジョン・ウォール(共にワシントン・ウィザーズ)とケミストリーも重視。同じチームのケビン・ラブ(クリーブランド・キャバリアーズ)も指名しており、最近チーム内に吹き荒れる不協和音を消す政治的効果も狙っているのでしょうか。

 今年も気になるのは、ラッセル・ウェストブルック(オクラホマ・サンダー)とKDのアリウープが飛び出るのか? 2人は会話をするのか? だとしたら、レブロンとカイリー・アービング(ボストン・セルティックス)も同じチームで、実はそんなにケミストリーは良くない? なんて妄想も駆り立てられますね。とにかく、今年のオールスターは話題にこと欠きません!

 一方のカリーは2年連続でMVP級の活躍を見せるジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)を獲得。さらに選手間投票では1位にランクされた“グリーク・フリーク”こと新星ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)も獲得。共にゴールデンステート・ウォリアーズでプレーするクレイ・トンプソン&ドレイモンド・グリーンもキッチリ引き入れ、ムードメーカー的ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)もいて、バランスが◎。「みんなハッピーに楽しくバスケしようぜ! でも勝とうな!」という声が聞こえてきそうです(笑)。

チーム分け発表後のレブロン、カリーの反応は!?

チーム分け発表後に公開されたユニホーム。黒と白のシンプルなデザインになっている 【Getty Images】

 オールスターといえば、選手たちが思い思いのファッショナブルなシューズを着用することでも注目を集めます。気になるのは東西が関係なくなった、ユニホームではないでしょうか。チーム分けが公開された直後、白と黒をベースにしたオールスター・ジャージも公開されましたが、オールスターでは史上初、ジョーダンブランドによるユニホームを着用することになるようです。

 すでに各所で高評価を得ているようですが、印象は“シンプル&クリーン”、僕もなかなかに洗練されていて好きです。どうやらチーム・レブロンが白、チーム・ステフィンが黒を着用する様子。

 最後に、チーム分け発表が全米放送で行われた際、両チームのキャプテンに対して伝説的司会者アーニー・ジョンソンが行ったインタビューの抜粋をどうぞ!

アーニー:レブロン、最初に選んだ選手は?
レブロン:いや、それは言えないよ……。
アーニー:カモーン!
レブロン:あなたを(口封じの為に)殺さなきゃいけなくなるかもしれない(笑)。
アーニー:それもアリだ。喜ぶ人も少なからずいるし(笑)。KDがチームにいるのはもう周知の事実なんだし。じゃあ2番目に選考したのは誰だい? KDはカリーのチームにいない訳だから、選べなかった訳だよね?
レブロン:アーニー、これだけは言っておくよ。テレビで放送されるべきだった。どこかは言えないけれど、ドラフトの過程で自分とカリーは大爆笑したんだ。中継されるべきだったね。

アーニー:自分のチームで一番好きなところ、カイリーを選んだ理由は?
レブロン:選べる中からベストを選ぶようにしたよ。カイリーを選ぶことに関しても、ケビン・ラブを選べたことに関しても、かつて一緒に成し遂げたことに一緒に思いを馳せる週末にできる。カイリーはまだ選考されていなくて、このリーグでもベストなポイントガード(PG)のひとりだ。簡単なチョイスだったよ。

アーニー:カリーは昨年ダンクをお見舞いされたこともあって、前々からアデトクンボを指名し、今年は味方に付けたいと言っていたよね?
カリー:そうだね。それがドラフトを考える上で最優先課題だったね(笑)。加えてデマー・デローザン(トロント・ラプターズ)やハーデンとは、米国代表として世界選手権を共に戦った仲だし、エンビードは今年初選出だけれど、今後何年にもわたってオールスターに選ばれる選手だ。オールスターの間に僕のツイッターアカウントを使って、いくつかジョークも言ってもらえたら最高だね。

アーニー:(ドラフト制は)初めての試みとなった訳だけど、今年のオールスターはどのように受け止められると思う?
レブロン:周りの人やチームメートから聞こえてくるのは、今季は間違いなくオールスターゲームを見るだろう、という反響だね。このドラフト(による関心の高まり)もあって、毎日チームメートから質問やドラフト順に対して入れ知恵があるし、盛り上がっているから、良い方向に進んでいると思うよ。

カリー:14回もオールスターに出場し、ずっとイースタンで出ていたやつが、新しいチームメート、マッチアップとの戦いに臨むだけでも、さまざまな変化が形作られる。このキャプテンの指名方式によって、オールスターゲームには新たな息吹が吹き込まれると思うよ。ロサンゼルスで行われることも大きなバズになるはずだし、良い週末、良い日曜日の試合になるはずさ。

(編注:デマーカス・カズンズ、ジョン・ウォール、ケビン・ラブ、クリスタプス・ポルジンギスの4選手は欠場を発表)

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