パワーのジョシュアかスピードのパーカーか 英国でヘビー級3団体王座統一戦を開催

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 ヘビー級のWBAスーパー王座とIBF王座を保持しているアンソニー・ジョシュア(28、英国)と、WBO王者のジョセフ・パーカー(26、ニュージーランド)が3月31日(日本時間4月1日)、それぞれの王座をかけて英国のカーディフで拳を交える。決戦の舞台は7万人以上のキャパシティを持つプリンシパリティ・スタジアム。地の利もあるジョシュアが有利とみられているが、WBO王者のスピードを推す声もある。20戦全KO勝ちのジョシュア、24戦全勝(18KO)のパーカー。3団体の王座を統一し、年内にも計画されているWBC王者、デオンテイ・ワイルダー(32、米国)との最終決戦に駒を進めるのは――。

ダウン応酬のクリチコ戦で成長したジョシュア

クリチコ戦を制し、評価を上げたジョシュア。3団体統一戦に勝利し、その先にあるワイルダー戦に進めるか 【Getty Images】

 21世紀に入ってマイク・タイソン(米国)、レノックス・ルイス(英国)、イベンダー・ホリフィールド(米国)らスター選手が一線を退いたあとのヘビー級は、ビタリ&ウラディミールのクリチコ兄弟(ウクライナ)が長いこと支配してきた。特に弟のウラディミールは06年4月から15年11月まで9年半以上の在位を誇った。

 この間、兄が君臨したWBC王座を除くWBA、IBF、WBO3団体の王座を統一している。クリチコのV19を阻止して王座に就いたのがタイソン・フューリー(英国)だった。ただ、フューリーは戴冠を果たした直後にIBF王座を放棄しており、今回、3団体王座が統一されれば約2年4カ月ぶりとなる。

 全勝の王者同士、しかも英国をホームとするジョシュアとニュージーランド初の世界ヘビー級王者でもあるパーカーという立場もあり、いったんは報酬の配分を巡って決裂しかかった。しかし、両陣営が根気強く交渉を続けた結果、英国開催に落ち着いた経緯がある。世界王者同士の統一戦だけに本来は同格というべきなのだが、主役がジョシュアであることは誰もが認めるところといえる。それはパーカー陣営が報酬配分比率を2対1で譲歩したことからもうかがい知れる。

 そのジョシュアは12年ロンドン五輪S・ヘビー級で金メダルを獲得するなどアマチュアで43戦40勝(17KO)3敗(他説あり)の戦績を残し、13年10月にプロに転向。以来、4年5カ月で20試合を行い、すべて規定ラウンド内で終わらせてきた。そのうち16試合は3回以内で片づけている。速攻型というよりも、キャリア途中までは相手との力量差が大きかったためとみることもできる。16年4月にIBF王座を獲得してからは4度の防衛を果たしている。なかでも昨年4月のウラディミール・クリチコ戦はジョシュアの評価を高めた試合といえる。5回にダウンを奪ったものの逆に6回には自身がダウンを喫するという窮地に陥ったが、そこから態勢を立て直して11回TKO勝ちを収めた。戦いながら成長した試合といっていいだろう。V4戦では慎重に戦い、スタミナや防御の不安を感じさせずに10回TKO勝ちを収めている。

「スピードを生かし角度を変えて攻める」とパーカー

下馬評は劣勢ながらも、「スピードを生かし角度を変えて攻める」と話すパーカー 【Getty Images】

 一方のパーカーもアマチュア経験者だが、世界ユース選手権で3位、ユース五輪で準優勝、世界選手権では2回戦敗退と、実績面ではジョシュアに遠く及ばない。プロデビューは12年7月で、以来5年8カ月間で24戦全勝(18KO)の戦績を収めている。世界王座につく前に数多くの地域王座を獲得しているほか、複数の世界ランカーにも勝っている。戴冠試合を含め3度の世界戦でKO勝ちはないが、地力は十分にある選手だ。このところ迫力を欠いた試合が続いているが、別の見方をすれば接戦や長丁場に強いタイプということもできる。昨年9月の2度目の防衛戦ではマンチェスターのリングに上がっており、英国のファンにも顔見せは済んでいる。

 今回の大一番に向け両者の調整は順調に進んでいる様子だ。ジョシュアは10週〜11週間を集中トレーニング期間に充て、「いい感じで仕上がっている。パーカーは最近の試合よりも5割増しの強さを発揮すると考えているが、自分の力を出せれば6回から8回の間にKOできると思う」と自信満々だ。

 これに対しパーカーは米国のラスベガスでトレーニングに励み、すでに試合2週間前には英国入りしている。こちらも理想的なトレーニングを積んだ模様で、「ジョシュアはサイドからの攻撃に十分な対応ができない。足をつかって素早く動きながら角度を変えたボクシングをして攻め落とす」と策の一端まで明かしている。

 ホーム・アドバンテージも含めてオッズは13対2でジョシュア有利と出ている。身長198センチ、リーチ208センチ、体重115キロ前後と体も大きいジョシュアが圧力をかけながら追い込み、十八番の右ストレートでパーカーを粉砕してしまうという見方が多い。

 一方、身長193センチ、リーチ193センチ、体重111キロ前後のWBO王者支持者は、パーカーのスピードが番狂わせを起こすと信じている。頑丈な体も好材料として挙げている。ジョシュアの弱点といわれるアゴに右ストレートが当たればパーカーのKO勝ちが期待できるとしている。

 ヘビー級4団体王者のうちWBCのワイルダーは今月3日にルイス・オルティス(キューバ)を10回TKOで退け、ひとあし早く最終決戦への出場を決めている。今回はライバルたちの戦いをリングサイドで見守る予定だ。そのワイルダーの目の前で勝者コールを受けるのはジョシュアなのか、それともパーカーなのか。

Written by ボクシングライター原功
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世界ヘビー級3団体王座統一戦
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ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)/WBO世界ヘビー級チャンピオン

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