“原点”の釜石で引退したレジェンド 「伊藤剛臣はラグビーを愛しています」

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世界の国々と戦った思い出

法政大時代には大学日本一にも輝いた 【写真:築田純/アフロスポーツ】

――ほかの国で印象的な選手は誰かいましたか。

 やはり2003年ワールドカップのスコットランド戦で対戦したNo.8(ナンバーエイト)のサイモン・テーラーです。195センチ、110キロあって、おまけに金髪で男前で。プレースタイルも、僕にはないパス、柔らかさがあって、彼ひとりにやられたなという印象でしたね。

――長い現役生活で、かなりたくさんの国と対戦していますよね。

 僕は15人制で2回、7人制でも2回、ワールドカップに出させていただきましたが、この前数えたら、30以上の国と対戦していました。正確な数は分からなかったんですが、アジアやアフリカの国ともたくさん試合をしましたね。香港セブンズではアジアのマレーシアやスリランカとも対戦したり。

――遠征先で印象に残っているところはありますか。

 いろいろありますが、フィジーはよく覚えています。子供たちが裸足でラグビーしている姿に感動しましたね。ヨーロッパに行ったときは逆に、歴史を感じました。
 僕はスコットランドに縁があって、初めて海外へ遠征したのは高校日本代表のスコットランド遠征で、エディンバラのマレーフィールドで試合をさせていただきました。ここは歴史と伝統を感じるスタジアムなんです。

 1993年に初めて開かれた7人制ワールドカップもスコットランドで、このとき、われわれ日本代表はボウルトーナメントで優勝したんですが、最後の決勝の相手がスコットランドだったんです。その試合に勝って、表彰式でスタンドを上がっていったらそこにアン王女がいて、祝福の握手をしていただきました。これも忘れられない思い出ですね。

「ラグビーは命がけの真剣勝負だというのが魅力」

46歳までプレーを続けた伊藤剛臣「ラグビーを愛しています」 【写真提供:WOWOW】

――現在、フランスリーグTOP14をWOWOWが放送していますが、どんな印象をお持ちですか。

 世界中のラグビー選手の憧れの場所でしょうね。給料も一番高いですし。ヨーロッパの選手だけでなく、南半球からもスーパースター級の選手がたくさんやってきて、どのチームも世界選抜みたいな感じだし、プレーも激しくて、スキルも高い。僕も、海外だったらどこでプレーしたかったかと聞かれたら、フランスリーグでやってみたかったですね。

――長いキャリアを積んだ伊藤さんですが、そこまで伊藤さんをとりこにしたラグビーの魅力とはどういうものなのでしょうか。

 ボールゲームですけれど、ただのボールゲームじゃない。命がけの真剣勝負だというのが魅力です。僕は高1でラグビーを始めたんですが、僕の中でラグビーで一番カッコいいプレーはタックルなんです。タックルを決めたときは最高の気持ちになります。やはり、伊藤剛臣はラグビーを愛しています。

――タックルの思い出をひとつ挙げるとしたら。

 先ほどお話した2003年ワールドカップのスコットランド戦ですね。1試合で25回タックルしました。現役生活で一番たくさんタックルした試合だったかもしれません。
 あとはアジア選手権で台湾と試合をしたとき、120キロくらいあるでっかい相手がいたんですが、僕と彼の間にレフリーがいたんで、そのレフリーを押して彼にタックルさせました(笑)。やはりタックルは根性とか美学じゃなくて、スキルですから、そういうのも大事です(笑)。

釜石での生活は「最高に幸せな6年間」

釜石は「僕にとってラグビーの原点」と語る 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

――伊藤さんは神戸製鋼で18年プレーしたあとで、41歳で釜石シーウェイブスに移籍しました。最後の釜石での6年間は、どういう思いでプレーしていたのですか。

 僕がラグビーというスポーツを知ったのは、新日鉄釜石の日本選手権7連覇だったんです。当時は小学生でラグビーのルールも何も知りませんでしたが、満員の国立競技場、大漁旗、赤いジャージ……これは僕にとってラグビーの原点です。

 その釜石で6年間。現役の炎を燃やせたんですから幸せでした。釜石って素晴らしいところで、グラウンドのある松倉は、沿岸からクルマで10分くらい、景色は北に山があって、そこから道路、社宅、グラウンドがあって、川の向こうはまた山なんです。鹿もたくさんいるし、クルマの中からですが熊も見ました。誰も信じてくれないけど(笑)。自然からパワーをもらってタックルしてました。街の人たちも、震災の被害を受けて苦労しているのに、自分のことのように僕らを応援してくれる。最高に幸せな6年間でした。

――その釜石で、来年(2019年)ワールドカップが開かれます。

 釜石での開催が決まったときは最高にうれしくて、日本酒を一升飲みましたよ(笑)。
 ワールドカップが行われる12会場で、釜石だけが都市部ではない場所での開催です。震災の被害を受けた土地でもあるし、ほかの会場にはない形で盛り上げてほしいですよね。やっぱり、グラウンドを大漁旗で埋め尽くしたい。釜石にしかないワールドカップの景色をつくって、みんなに喜んでほしいです。もちろん僕も、必ずそこにかけつけて応援したい。ワールドカップの釜石開催成功に貢献したいと思っています!

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最終節:
イタリアvsスコットランド 3/17(土)夜9:15〜 [WOWOWライブ]
イングランドvsアイルランド 3/17(土)夜11:35〜 [WOWOWライブ]
ウェールズvsフランス 3/17(土)深夜1:50〜 [WOWOWライブ]

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