手術したネイマール、復帰への道のりは? PSGと代表、本人の思惑が生んだ軋轢
激痛に涙を流したネイマール
マルセイユ戦で負傷したネイマール。苦悶の表情を浮かべてピッチに倒れた 【Getty Images】
翌26日、クラブは彼のけがについて「右足首の捻挫と右足第5中足骨のひび」と発表した。けがをした箇所は、右足の甲の外側、足の小指の少し手前の部分だ。この時点で全治までの期間は明らかにされなかったが、27日にPSGのウナイ・エメリ監督は「手術が必要とは聞いていない。3月6日のチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16第2戦のレアル・マドリー戦に出場できる可能性はある」と語った。
ネイマールは激痛に涙を流しながら担架で運ばれ、病院へ搬送された 【写真:ロイター/アフロ】
そして28日、ブラジル代表ドクターのロドリゴ・ラスマールがパリでネイマールを診察し、クラブ関係者、ネイマール本人と彼の父親と今後の治療方法について相談。クラブ側は、「非常に残念だが、手術をすることで意見が一致した」と発表した。
この経緯について、フランスの地元メディアは「エメリ監督の意向を受け、PSGはレアル・マドリー戦にネイマールが出場する可能性を懸命に探っていた。しかし、ネイマールの父親とブラジルサッカー協会はレアル・マドリー戦に強行出場して故障箇所をさらに悪化させることを恐れ、手術を強く主張。結果的に、PSGはブラジル人たちに押し切られた」と報じた。
食い違うクラブ、本人、代表ドクターの認識
ブラジルで行った手術は無事成功。ネイマール(左)はリハビリを行い、早期復帰を目指す 【写真:ロイター/アフロ】
パリの地元紙は、PSG関係者がこの発言を知って激怒したと伝えた。クラブのメディカルスタッフによる診断結果はあくまでも「ひび」であり、骨折とはみなしていなかった。ところが、母国へ到着後、ブラジルサッカー連盟とネイマール側は自分たちが手術を主張したことを正当化するため、事実を捻じ曲げて「骨折」と発表したと憤ったというのである。
この夜、ネイマールはリオ郊外の別荘(敷地が東京ドームの2倍以上もある豪邸だ)で眠り、2日に自家用機でベロオリゾンテへ移動し、3日朝、手術を受けた。ラスマール医師は、「手術は成功した。完治に要する期間は今後の彼の回復とリハビリ次第だが、6週間後に検査を行う。それによって、練習を開始する時期が判明するだろう」と語った。
ネイマールは、4日の朝に退院し、別荘へ戻った。今後は専属の理学療法士とフィジカルトレーナーの指導を受けながらリハビリを行い、早期復帰を目指す。
PSG、本人サイド、ブラジルサッカー連盟のけがと治療に関する認識は微妙に食い違っており、小さからぬ軋轢(あつれき)を生んだ。とはいえ、すでに手術が行われた以上、今後はネイマールの回復とリハビリの進行を待つしかない。