帝京ラグビーが示す“大一番の勝ち方” 伸び伸び育て、細かく分析…9連覇へ
帝京大・岩出監督「会心の試合」
1トライを奪うだけでなく、正確なゴールキックでもチームに貢献した帝京大・竹山晃暉 【写真:築田純/アフロスポーツ】
結果は「今シーズン、一番の会心の試合だった」と岩出雅之監督が振り返ったように、帝京大が31対12で快勝し、V9に王手をかけた。
昨年度は帝京大を苦しめた「シーゲイルズ」こと東海大。関東リーグ戦で大東文化大に苦杯をなめたものの、キャプテンのFB野口竜司(4年)を筆頭に日本代表経験者5人を擁し、「今年こそは……」の機運は高まっていた。
大学選手権で調子を上げていた東海大
日本代表としても活躍している東海大・野口竜司 【斉藤健仁】
しかも指揮官が「まとまってきた」と感じていたように大学選手権に入ってからチーム力は向上。本来はBKである留学生のアタアタ・モエアキオラをNo.8に、もうひとりのテビタ・タタフ(ともに3年)をFLとして起用した采配も当たり、難敵である早稲田大(47対18)、天理大(33対7)を撃破し、準決勝まで駆け上がった。
一方の帝京大は、昨年度のチームから、現在は日本代表で活躍するSO松田力也(パナソニック)、LO/FL姫野和樹(トヨタ自動車)らが抜け、将来を見据えてSO北村将大らルーキーを積極的に起用した影響もあろう。対抗戦では慶応大に勝利をしたものの4トライを喫し、大学選手権に入ってからも流通経済大に3トライを許した姿を見ていると、特に守備に隙があると感じていた。
大一番にピークを合わせてきた帝京大
スクラム、ブレイクダウンで帝京大FWが奮闘した 【斉藤健仁】
「(中10日くらいあったので)久しぶりに今回はたっぷり相手を分析した」という帝京大の岩出監督は「(東海大は)選手の理解度も上がって、やることを絞っていた」と感じていたという。
「東海大さんの強みはディフェンスと、敵陣に入ってから留学生の2人がブレイクする。そこをひとつひとつ止めていこうと話しました。また東海大さんはブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)も強みなので、(2人目、3人目が)遅いと勢いに乗って入ってくる。(東海大に敗れたチームは)そこで壊されたので、ブレイクダウンで受け身にならないようにと試合に臨みました」(岩出監督)
相手と自分たちの強みや弱みを比べつつ、帝京大が立てた具体的なゲームプランは、相手の大きなFWを走らせてプレッシャーをかける「キック&チェイス」、激しいタックル、2人の留学生を止めるという3点に集約された。「(前の試合の)流通経済大戦はハングリーさがなかったが、やることもクリアになっており、いい準備ができた」(岩出監督)