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帝京ラグビーが示す“大一番の勝ち方”
伸び伸び育て、細かく分析…9連覇へ

帝京大・岩出監督「会心の試合」

1トライを奪うだけでなく、正確なゴールキックでもチームに貢献した帝京大・竹山晃暉
1トライを奪うだけでなく、正確なゴールキックでもチームに貢献した帝京大・竹山晃暉【写真:築田純/アフロスポーツ】

 今年度も1月2日にラグビーの大学選手権準決勝2試合が、東京・秩父宮ラグビー場で行われた。ここまで2年連続で決勝で対戦していた、9連覇を狙う帝京大(関東対抗戦1位)と、初優勝を目指す東海大(関東リーグ戦2位)が、今年度は準決勝で激突した。


 結果は「今シーズン、一番の会心の試合だった」と岩出雅之監督が振り返ったように、帝京大が31対12で快勝し、V9に王手をかけた。


 昨年度は帝京大を苦しめた「シーゲイルズ」こと東海大。関東リーグ戦で大東文化大に苦杯をなめたものの、キャプテンのFB野口竜司(4年)を筆頭に日本代表経験者5人を擁し、「今年こそは……」の機運は高まっていた。

大学選手権で調子を上げていた東海大

日本代表としても活躍している東海大・野口竜司
日本代表としても活躍している東海大・野口竜司【斉藤健仁】

 東海大を率いて20年目の木村季由監督は「うちはディフェンスのチーム」と言うように、BKに好タックラーをそろえ、今年度の9試合で、相手を1トライ以下に抑えた試合は5試合あり、平均失トライは約1.5トライと安定した守備が一番の武器だった。


 しかも指揮官が「まとまってきた」と感じていたように大学選手権に入ってからチーム力は向上。本来はBKである留学生のアタアタ・モエアキオラをNo.8に、もうひとりのテビタ・タタフ(ともに3年)をFLとして起用した采配も当たり、難敵である早稲田大(47対18)、天理大(33対7)を撃破し、準決勝まで駆け上がった。


 一方の帝京大は、昨年度のチームから、現在は日本代表で活躍するSO松田力也(パナソニック)、LO/FL姫野和樹(トヨタ自動車)らが抜け、将来を見据えてSO北村将大らルーキーを積極的に起用した影響もあろう。対抗戦では慶応大に勝利をしたものの4トライを喫し、大学選手権に入ってからも流通経済大に3トライを許した姿を見ていると、特に守備に隙があると感じていた。

大一番にピークを合わせてきた帝京大

スクラム、ブレイクダウンで帝京大FWが奮闘した
スクラム、ブレイクダウンで帝京大FWが奮闘した【斉藤健仁】

 そのため、ディフェンスに定評のある東海大が帝京大を3トライ以内に抑えることができれば、十分に勝機が出てくるのでは、と予想していた。だが、8連覇中の王者は、大学選手権準決勝、そして相手が東海大という一番の勝負どころの試合で、見事にピークを合わせてきた。


「(中10日くらいあったので)久しぶりに今回はたっぷり相手を分析した」という帝京大の岩出監督は「(東海大は)選手の理解度も上がって、やることを絞っていた」と感じていたという。


「東海大さんの強みはディフェンスと、敵陣に入ってから留学生の2人がブレイクする。そこをひとつひとつ止めていこうと話しました。また東海大さんはブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)も強みなので、(2人目、3人目が)遅いと勢いに乗って入ってくる。(東海大に敗れたチームは)そこで壊されたので、ブレイクダウンで受け身にならないようにと試合に臨みました」(岩出監督)


 相手と自分たちの強みや弱みを比べつつ、帝京大が立てた具体的なゲームプランは、相手の大きなFWを走らせてプレッシャーをかける「キック&チェイス」、激しいタックル、2人の留学生を止めるという3点に集約された。「(前の試合の)流通経済大戦はハングリーさがなかったが、やることもクリアになっており、いい準備ができた」(岩出監督)

斉藤健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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