サンウルブズ、3年目は惜敗スタート
「勝って雪だるま式に」成長なるか?

ピンチからの脱出がうまくいかず…

ボールを持って突進するCTB中村。攻守に激しいプレーを見せた
ボールを持って突進するCTB中村。攻守に激しいプレーを見せた【斉藤健仁】

 それではなぜ、サンウルブズは勝てなかったのか。まず前半、点の取られ方が悪かった。相手の先制PGも含めて23分 34分の失トライも、SOロビー・ロビンソンが相手SHのチャージもあり有効なタッチキックを蹴れず、簡単に自陣でプレーさせていたことが失点につながった。短い期間の中で、このエリアからの脱出に十分な時間を割けなかった影響もあろう。


 ジョセフHCも真っ先に敗因として「自陣22mや30mあたりからしっかり展開できず、ちゃんとした脱出ができなくてターンオーバーを与えてしまい、相手の圧力に耐えられなかった」と指摘した。前半、もう1トライを挙げて、さらに1トライを抑えることができれば、試合の流れは大きく変わっていたはずだ。


 さらに後半、相手は名門チームだけあって、しっかりとサンウルブズを分析しつつ、ギアを上げてきた。まずキックオフからボールをキープされ、一度は奪い返したが、SH流のパスがゴールポストに当たってしまい、そのボールをグラウンディングされて19対22と逆転を許してしまう。


 ブランビーズはディフェンスでも、サンウルブズのミッドフィールドのFWで作るポッドにプレッシャーをかけつつ、CTBなどが極端に上がって、サンウルブズの強力なWTBにボールを展開させないという手を打ってきた。

サンウルブズから4人が「ベスト15」に選出

22回のタックル、そして攻撃でもインパクトを与えたFLラブスカフニ
22回のタックル、そして攻撃でもインパクトを与えたFLラブスカフニ【斉藤健仁】

 一方でサンウルブズは、前半はしっかりと前に上がるディフェンスを見せて、相手をダブルタックルで止めたが、後半になると、徐々に身体の大きな相手に前に出られて接点で巻き込まれてしまい、ノットロールアウェー(タックルした選手が動かずにボールが出るのを妨げる)などの反則が増え、さらに2トライを追加され、22対32とリードを許してしまう。


 それでも残り10分となったところで、意地を見せる。アタックを継続し、相手の反則を誘って、ゴール前でラインアウトモールのチャンスを何度か得た。もう少しでトライというシーンもあったが、前半に身長201cmのLOグラント・ハッティングが負傷交代していた影響や、相手に外に押し出されたり、モールを割られたりして、ゴールラインを超えることができなかった。


 後半の最後の最後で途中出場のSOヘイデン・パーカーがPGを決めて25対32と7点差以内としたところでノーサイド。サンウルブズは黒星スタートとなったが、開幕戦で、そしてオーストラリア勢から初の勝ち点奪取となった。


 23人中15人がサンウルブズとしてのデビュー戦であり、さらに9人がスーパーラグビー初キャップという布陣ながら、よく戦ったという見方もできる。現に、サンウルブズからFL姫野和樹、FLピーター・ラブスカフニ、CTBラファエレ、2トライのWTBサウマキの4人が「ベスト15」に選出される快挙を達成。特にFL姫野は途中からLOに入って奮闘して9回のボールキャリーや16のタックル(ミスタックル0)、FLラブスカフニは22タックル(ミスタックル0)して3回のターンオーバーを決めるなど、それだけ選手たちのプレーも光った。

ジョセフHC「このレベルで強豪チームと戦っていける」

日本代表に続き、サンウルブズでもデビューを果たしたFL/LO姫野和樹
日本代表に続き、サンウルブズでもデビューを果たしたFL/LO姫野和樹【斉藤健仁】

 ジョセフHCも「今日のパフォ−マンスは素晴らしかったが、決して満足できる結果ではなかったと思います。選手たちもロッカールームで悔しがった顔を見せていました。でもこのレベルで強豪チームと戦っていけると自信を得ることができた」と敗戦に肩を落としつつ、選手たちのパフォーマンスには及第点を与えていた。


「勝ちたいならハードな練習をしないといけない」と指揮官は1月28日から3週間のプレシーズン合宿は、自衛隊でのキャンプを含み、ハードトレーニングを課し、多くの選手が「ラグビー人生の中で一番きつかった!」と口をそろえていた。


「準備期間が(短いことが)有利だったり不利だったり、いろいろ作用しています」とジョセフHCが言うとおり、一気に練習強度を上げたことでケガ人が出たことも確かだが、昨年までサンウルブズにいたメンバー、そして11月の日本代表選手を中心に、戦術、戦略を落とし込み、7カ国からなるチームの一体感は急速に増し、開幕戦を迎えた。


 それはひとえにスーパーラグビー8年目を迎えるジョセフHC、ブラウンコーチという2015年にハイランダーズ(NZ)を率いてスーパーラグビーを制したコンビの手腕によることが大きい。「勝つことで雪だるま式に自信がついていく」と指揮官が開幕前に手応えを感じていたように、まだまだシーズン中に成長するポテンシャルも秘めている。


 サンウルブズは3月3日、秩父宮ラグビー場で行われるレベルズ(オーストラリア)戦で、ホームのファンの目の前で今年初白星を飾って、勝利の雄叫びをあげることができるか。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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