サンウルブズ、3年目は惜敗スタート 「勝って雪だるま式に」成長なるか?
ピンチからの脱出がうまくいかず…
ボールを持って突進するCTB中村。攻守に激しいプレーを見せた 【斉藤健仁】
ジョセフHCも真っ先に敗因として「自陣22mや30mあたりからしっかり展開できず、ちゃんとした脱出ができなくてターンオーバーを与えてしまい、相手の圧力に耐えられなかった」と指摘した。前半、もう1トライを挙げて、さらに1トライを抑えることができれば、試合の流れは大きく変わっていたはずだ。
さらに後半、相手は名門チームだけあって、しっかりとサンウルブズを分析しつつ、ギアを上げてきた。まずキックオフからボールをキープされ、一度は奪い返したが、SH流のパスがゴールポストに当たってしまい、そのボールをグラウンディングされて19対22と逆転を許してしまう。
ブランビーズはディフェンスでも、サンウルブズのミッドフィールドのFWで作るポッドにプレッシャーをかけつつ、CTBなどが極端に上がって、サンウルブズの強力なWTBにボールを展開させないという手を打ってきた。
サンウルブズから4人が「ベスト15」に選出
22回のタックル、そして攻撃でもインパクトを与えたFLラブスカフニ 【斉藤健仁】
それでも残り10分となったところで、意地を見せる。アタックを継続し、相手の反則を誘って、ゴール前でラインアウトモールのチャンスを何度か得た。もう少しでトライというシーンもあったが、前半に身長201cmのLOグラント・ハッティングが負傷交代していた影響や、相手に外に押し出されたり、モールを割られたりして、ゴールラインを超えることができなかった。
後半の最後の最後で途中出場のSOヘイデン・パーカーがPGを決めて25対32と7点差以内としたところでノーサイド。サンウルブズは黒星スタートとなったが、開幕戦で、そしてオーストラリア勢から初の勝ち点奪取となった。
23人中15人がサンウルブズとしてのデビュー戦であり、さらに9人がスーパーラグビー初キャップという布陣ながら、よく戦ったという見方もできる。現に、サンウルブズからFL姫野和樹、FLピーター・ラブスカフニ、CTBラファエレ、2トライのWTBサウマキの4人が「ベスト15」に選出される快挙を達成。特にFL姫野は途中からLOに入って奮闘して9回のボールキャリーや16のタックル(ミスタックル0)、FLラブスカフニは22タックル(ミスタックル0)して3回のターンオーバーを決めるなど、それだけ選手たちのプレーも光った。
ジョセフHC「このレベルで強豪チームと戦っていける」
日本代表に続き、サンウルブズでもデビューを果たしたFL/LO姫野和樹 【斉藤健仁】
「勝ちたいならハードな練習をしないといけない」と指揮官は1月28日から3週間のプレシーズン合宿は、自衛隊でのキャンプを含み、ハードトレーニングを課し、多くの選手が「ラグビー人生の中で一番きつかった!」と口をそろえていた。
「準備期間が(短いことが)有利だったり不利だったり、いろいろ作用しています」とジョセフHCが言うとおり、一気に練習強度を上げたことでケガ人が出たことも確かだが、昨年までサンウルブズにいたメンバー、そして11月の日本代表選手を中心に、戦術、戦略を落とし込み、7カ国からなるチームの一体感は急速に増し、開幕戦を迎えた。
それはひとえにスーパーラグビー8年目を迎えるジョセフHC、ブラウンコーチという2015年にハイランダーズ(NZ)を率いてスーパーラグビーを制したコンビの手腕によることが大きい。「勝つことで雪だるま式に自信がついていく」と指揮官が開幕前に手応えを感じていたように、まだまだシーズン中に成長するポテンシャルも秘めている。
サンウルブズは3月3日、秩父宮ラグビー場で行われるレベルズ(オーストラリア)戦で、ホームのファンの目の前で今年初白星を飾って、勝利の雄叫びをあげることができるか。