【新日本プロレス】オカダが内藤を下しIWGPヘビーV9 オメガはジェリコとの死闘を制し王座防衛
IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカが再び東京ドームにカネの雨を降らせた 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】
新日本の1.4東京ドーム大会は、92年の「超戦士 in 闘強導夢」より毎年開催され、「イッテンヨン」の通称でプロレスファンに定着。近年は「新日本プロレスワールド」で全世界にインターネット中継されている影響で、海外にも浸透しており、昨年のメインイベントで行われたオカダ・カズチカvs.ケニー・オメガのIWGPヘビー級選手権試合は世界中に大きな衝撃を与えた。
なお、今年の真夏の祭典「G1 CLIMAX」では、史上初となる東京・日本武道館3連戦として行われることも決定。8月10日&11日&12日(優勝決定戦)の3日間にわたって開催される。新日本の武道館大会は03年6月3日(メインイベントは高山善廣vs.中邑真輔のNWFヘビー級選手権試合)以来、約15年ぶり。武道館でのプロレス興行自体も、13年5月11日の小橋建太引退興行以来、約5年ぶりとなる。
内藤へ大声援もオカダの壁は破れず
最後はレインメーカーで試合に終止符を打った 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】
昨年の「プロレス総選挙」で1位を獲得した“支持率ナンバーワン男”も、レインメーカーの牙城を崩すことはできなかった。昨年はプロレス大賞MVPを2年連続で獲得し、史上5人目となる快挙を達成。だが、オカダはすでに12年&13年に2年連続受賞を果たし、アントニオ猪木、ジャンボ鶴田、天龍源一郎といったそうそうたるレジェンドたちと肩を並べていた。
幼少期からプロレスを観て育ち、憧れの新日本に入門した内藤。だが、1年後輩として新日本に移籍してきたオカダの背中を、いつしか追いかける形となっていた。29歳の内藤が「20代でのIWGP王座戴冠」を宣言した12年に、オカダは24歳で初戴冠。同年3.4後楽園では挑戦者としてオカダのIWGP王座に挑むも敗北。結局、20代ではIWGP王座に届かなかった。オカダは同年に「G1 CLIMAX」も初出場にして優勝。内藤も翌年のG1で初優勝を果たすも、翌年の1.4ドームで決定した両者のIWGP王座戦は、ファン投票の結果、ダブルメインの第1試合という事実上のセミファイナル扱いに。真のメインには中邑真輔vs.棚橋弘至のIWGPインターコンチネンタル王座戦が選ばれた。その後、オカダは15年から今年まで4年連続でドームのメインを務め、16年には3度目のメインにして勝利を経験。一方、内藤はようやく初のメインに辿り着いたが、観客の声援とG1優勝の実績をもってしても、約1年半にわたりベルトを巻き続けてきたオカダの壁を打ち破れなかった。
「感動の雨、驚きの雨、幸せの雨、いろいろな雨を降らせていく」
「2018年、感動の雨、驚きの雨、幸せの雨、いろいろな雨を降らせていく」と誓った王者オカダ 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】
スタンドでのエルボー合戦から内藤が張り手でダウンを奪うも、内藤のデスティーノはオカダがレインメーカーに切り返す。内藤も再度デスティーノを決めるも、オカダがドロップキック、ツームストンを炸裂。なおもデスティーノで攻める内藤に、オカダは2発目を切り返してツームストンを繰り出すと、レインメーカーでフィニッシュ。3カウントが入った瞬間、場内はどよめきと溜め息に包まれた。
まさに“超人”的な強さを見せ付けたオカダは、リング上から「内藤さん、東京ドームのメインイベント、どうだった? 最高に気持ちいいだろ。そして、勝つのはもっと気持ちいいぞ。またやろうぜ。東京ドームのメインイベントで、もう1回やろうぜ」と先に退場した内藤の背中に呼びかけると、続いて、昨年よりも約9000人増加した客席を見わたし、「レインメーカーに任せとけ。しっかり、超満員札止めの東京ドームを見せてやる」と、さらなる集客アップを約束。
最後に「オレはオレのプロレスで全員満足させてハッピーにしてやります。今まではレインメーカーとしてカネの雨しか降らせてこなかったけど、2018年、感動の雨、驚きの雨、幸せの雨、いろいろな雨を降らせていく」と、今年も自身が先頭に立って、さまざまなドラマを見せるとアピールした。
歴代のIWGP王座最多連続防衛記録は、棚橋弘至が第56代王者時代に築いた11回。すでに、戴冠期間では最長記録を更新中のオカダは「記録を伸ばしたいというよりも、僕はずっとチャンピオンでいたいだけ」と、まずは次の2ケタ防衛に意欲を見せた。一昨年からの防衛ロードで、単なる防衛回数だけではなく、試合内容でも観る者をうならせてきたオカダ。今後もあらゆる記録を塗り替え、レインメーカー最強伝説を構築し続けるのか。それとも、「中学3年生の頃からの夢」であった東京ドームのメインを初体験したことで、ひとつのゴールを迎えた内藤が、「新しい夢」を見つけた上で、再び、この舞台に戻り、今度こそ東京ドームで大合唱を響かせるか。