【新日本プロレス】オカダが内藤を下しIWGPヘビーV9 オメガはジェリコとの死闘を制し王座防衛

高木裕美

イスで流血させられるもオメガが死闘制す

オメガがイス上への片翼の天使で、ジェリコとの死闘を制した 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 ダブルメインイベント第1試合として行われたIWGP USヘビー級選手権試合では、30分を超える死闘の末にケニー・オメガがWWEのスーパースター、クリス・ジェリコを倒し、4度目の防衛に成功した。

 両者は共にカナダ・マニトバ州ウィニペグ出身。さらに、日本のインディー団体で経験を積み、メジャー団体でスターダムに上り詰めた点でも似ている。ジェリコは91年にFMWで初来日し、WAR、新日本にも参戦。01年12月には、同じ日にザ・ロックからWCWヘビー級王座、ストーン・コールド・スティーブ・オースチンからWWFヘビー級王座を獲得し、史上初のWWE&WCW統一世界王者となる快挙を達成するなど、世界最高峰のWWEマットで頂点を極めた。

 11.5大阪でV3に成功したオメガに対し、ジェリコがVTRで「世界で一番、史上最高のレスラーはオレ。この世界のアルファ(頂点)だ。ジェリコvs.ケニー、アルファvs.オメガ。1.4東京ドーム、どっちが最高のレスラーか確かめようぜ」と挑戦状をたたきつけ、オメガもその場でタイトル戦を即決した。だが、12.11博多大会の試合後、突如会場に姿を現したジェリコが、背後からオメガを急襲。フェースクラッシャーを見舞い、ジャケットを脱ぎ捨ててパンチを連打すると、USヘビーのベルトで顔面を殴打。オメガの額をカチ割り、大流血させた。翌日の記者会見でも両者は乱闘を展開。そのため、反則なしのノーDQマッチとして行われることが決定した。

 一触即発ムードのまま、ジェリコがゴング前に奇襲攻撃。場外戦ではオメガが放送席のモニターを投げつけ、テーブルを使ったフットスタンプ。リングに戻ったジェリコがかつての代名詞ライオンサルトを放つと、さらにオメガを踏みつけてマッチョポーズ。冬木軍の“ライオン道”時代を彷彿(ほうふつ)とさせるムーブに、場内からは大歓声が沸き起こる。オメガもジェリコのウォールオブジェリコに対し、顔面へのスプレー噴射で対抗。怒りのジェリコはオメガの顔面をイスに打ちつけ、額から流血させると、なおもイスでメッタ打ち。さらに片翼の天使を切り返してウォールオブジェリコにとらえるも、オメガがロープエスケープ。30分過ぎ、ジェリコのコードブレーカーをしのいだオメガが、イス上への片翼の天使で粉砕し、初代王者としてベルトを守り抜いた。

 世界的レジェンドとなった同郷の大先輩に勝利したオメガは、改めて、自分が活躍する場所はニュージャパンのリングであると明言。その上で「このベルトと共に、この団体を未来に運んでいく」と、IWGP USヘビー級のチャンピオンとして、新日本という巨大な船の梶を取っていくことを宣言した。

棚橋はIC王座を防衛 巻き返しを誓う

棚橋がIC王者V4に成功。再びドームのメインへ巻き返しを誓う 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 IWGPインターコンチネンタル選手権試合では、王者・棚橋弘至が“スイッチブレイド”ジェイ・ホワイトを下し、4度目の防衛に成功した。

 ホワイトはニュージーランド出身の25歳。15年に新日本に入門し、「青い目のヤングライオン」と呼ばれるも、16年5月より米国ROHに遠征。昨年の11.5大阪大会で王座防衛に成功した直後の棚橋を襲撃し、シェル・ショックでKOした。さらに12.18後楽園でも、右ヒザ負傷からの強行出場を宣言した棚橋に対し、容赦ないヒザ攻めから必殺技のブレードランナーを炸裂し、2度にわたって棚橋を大の字にしてみせた。

 下克上を狙うホワイトは、序盤から容赦ないヒザ攻めを仕掛けると、棚橋も捨て身の場外へのハイフライアタックを発射。なおもホワイトはエプロンへのブレーンバスターで棚橋を脳天からマットに突き刺してみせるが、棚橋も15分過ぎ、雪崩式ツイストアンドシャウト、スリングブレイド2連発からのハイフライフロー2連発。2発目をかわされて自爆しながらも、ブレードランナーを阻止してドラゴンスープレックスを繰り出すと、渾身のハイフライフロー2連弾でトドメをさした。

 16年まで6年連続メインを務めながら、昨年はセミ、今年は第7試合と、試合順が下がってきている状況に、棚橋は「原因は分かっている」と、悔しさをにじませつつも、「1つでも上の試合で組まれるようにやっていきたい」と、いまだ爆弾を抱えた状態のヒザへの不安と、それを上回る覚悟を明かした。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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