涙の4年生と、笑顔で迎える監督 「挑戦し続ける」天理大ラグビー部
大きな武器となったスクラム
自信の表情でスクラムに向かうPR木津。ジュニア・ジャパンにも選ばれ、将来の日本代表入りを期待されている 【斉藤健仁】
「僕が1年生のときから強化が始まって、モールとスクラムに対する意識が変わった。それが試合でも見えるようになってきて、今年度は完成度を上げようとシーズン中でも成長した。こういう(セットプレーの)文化を今後も途切れることなくやっていってほしい」(PR木津)
天理大は145人の部員がいて、シーズンに入るまでは、チームを分けることなく基本的には全員で練習している。また小松監督は、今年からほぼ全員が入寮している寮の消灯を23時にするなど、私生活の細かな部分に関しても心を砕くようになった。
「すべてがつながっています。部員は150人くらいおりますから、試合に出ているものだけで『日本一や、日本一や』と言っても、残りの100人くらいが『無理やろ』という気持ちでやったら日常生活に出てくる。みんなで目標に向かってやることが大事です」(小松監督)
小松監督「今回負けた悔しさを感じることも大事」
試合後に選手と抱き合う王子キャプテン 【斉藤健仁】
小松監督は「(大学選手権は)関西リーグとは別ものですね。理論的にボールを動かすだけでなく、相手のディフェンスを打ち破る個の力とかプラスアルファが必要」と課題を挙げつつ、「質は毎年、どんどん上がってきているような気がしています。今回負けた悔しさを感じることも大事。うちは『来年は絶対に優勝する』ということはないですが、挑戦し続けるしかない」と先を見据えた。
東海大に負けた後、天理大の4年生は膝をついたり、顔を上げられなかったり、目を赤くしていた。本気で「日本一」を目指していたからこその、姿だった。そんな4年生を小松監督は笑顔で出迎えていた。監督に、その真意を聞くと「精一杯やってくれた。今年のチームは一生懸命やってくれたなと思います」と選手たちの健闘を称えた。
アタックもディフェンスも、セットプレーも強い。そして監督と選手は、強い信頼関係で結ばれている。練習環境も整っている。天理大学が覇権を握る日もそう遠くはないと強く感じた。