【バレー】JOC杯の歴史と今年度の注目選手 新たなヒーローとヒロインの誕生に期待

月刊バレーボール

“金の卵”たちが集うJOC杯。昨年の第30回大会の男子は、熊本県選抜が東京都選抜を下した 【月刊バレーボール】

 今年も12月25日から4日間、「JOCジュニアオリンピックカップ 全国都道府県対抗中学生バレーボール大会」(以下、JOC杯)が大阪で開催される。今回で31回を数えるこの大会はどのようなものなのか。また、今大会の注目選手を紹介する。

※選手名の()書きは現在の所属、引退選手は現役最後の所属

中学生バレーボーラーの祭典

 JOC杯が初めて開催されたのは1987年のこと。日本のバレーボール界を担う、将来性ある中学生選手の発掘と育成を目的に大会が設立され、当時は「さわやか杯 全国都道府県対抗中学バレーボール大会」という名称だった。

 大会は全国47都道府県に加え、開催地の大阪のみ2チームが組まれ、男女それぞれ48チームが一堂に会し頂点を争う。第19回大会(2005年)から第26回大会(12年)までは女子へ、48チームのほかに「NTドリームス」(日本バレーボール協会のアカデミー生で編成されたチーム)が加わった時期もあったが、男女計96チームの形は今も変わっていない。現在、1チームあたりの登録人数は12名で、各都道府県における選りすぐりのメンバーたちで構成される。

 一般的に、中学生のバレーボールは、日本中学校体育連盟による全日本中学校バレーボール選手権大会(以下、全中)がそのシーズンの集大成と位置付けられている。中学3年生の部員たちは全中へ向けてのステップとなる地区大会、都道府県大会、ブロック大会を戦う中で、チームを引退するのが通例だ。

 JOC杯の選考は夏の時期、もしくはそれらの大会と並行して行われ、8月の全中が終われば、選抜チームの活動が本格化することになる。そこから4カ月ほどの期間をかけてチームづくりを行い、「都道府県対抗」というその名のとおり、地元を代表しての戦いに挑むわけである。

 その中で、選抜チームならではのメンバー選考は、この大会における魅力の一つといえる。例えば、魅力的な体格を備えていたとしても、地区大会で勝利できず、涙をのむ選手たちもいる。全中で日の目を見なかった“ダイヤの原石”が、JOC杯の選抜チームに選ばれ、そこで初めて全国区になるといったケースは、これまでも多く見られた。

名だたる選手たちの通過点

第25回大会で「JOC・JVAカップ」を受賞した古賀紗理那 【月刊バレーボール】

 31年目を迎えるJOC杯では、これまでの日本バレーボール界を彩った名選手たちが若いころにその名前を刻んできた。

 第1回大会では、多治見麻子(トヨタ車体監督)や江藤直美(龍谷大監督)ら往年の名選手が、個人賞の一つである「オリンピック有望選手」に名を連ねた。また、この賞では、現在も第一線で活躍する荒木絵里香(トヨタ車体)が第11回大会(97年)から第13回大会(99年)まで中学3年間すべてで受賞。ちなみに、その第13回大会では、栗原恵(日立)と大山加奈(元東レ)の2人も「オリンピック有望選手」に選出されており、のちの「メグ・カナ」時代の到来を予感させる結果となっている。

 個人賞の項目は時代ごとに変わっており、第15回大会(01年)からは、現行の方式が取られている(「ベストリベロ賞」は第29回大会まで)。大会で男女1名が選ばれる「JOC・JVAカップ」は、最優秀選手賞にあたり、第15回大会において男子は清水邦広(パナソニック)、女子は木村沙織(元東レ)が選ばれた。その翌年からは、男子に八子大輔(JT)と、女子に狩野舞子(PFU)が2大会連続で選出された。現在に至るまで、複数年での「JOC・JVAカップ」受賞者はこの2人だけ。

 その後は、男子は第20回大会(06年)の出耒田敬(堺)、第21回大会(07年)の山田脩造(豊田合成)、そして、女子も第18回大会(04年)の冨永こよみ(上尾)、第25回大会(11年)の古賀紗理那(NEC)など、今年の全日本で活躍した選手たちがこの賞に輝いている。

 第2回大会(88年)から第7回大会(93年)までのプログラムの表紙に書かれていた「世界へ。」の標語のとおり、日本を代表して世界と戦うバレーボーラーたちがくぐってきた登竜門が、このJOC杯といえるだろう。

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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