【バレー】JOC杯の歴史と今年度の注目選手 新たなヒーローとヒロインの誕生に期待
春高の注目選手も過去に出場
第28回大会の表彰式。中川美柚(左から2番目)、上坂瑠子(右端)ら春高の注目選手の姿も 【月刊バレーボール】
その大会で、男子の「JOC・JVAカップ」を受賞した鍬田憲伸は、熊本の伝統校・鎮西高のエース、そして主将として今年の夏にインターハイを制覇。今回の春高で、高校2冠を目指す。
同年の女子では「オリンピック有望選手」に東九州龍谷高(大分)の中川美柚、福井工大福井高(福井)の上坂瑠子らが選ばれ、「大会優秀選手」には八王子実践高(東京)の東谷玲衣奈や金蘭会高(大阪)の林琴奈らの名前がある。彼女たちは現在、チームに欠かせない存在としてコートに立つ。春高で注目の集まるヒロインたちだ。
また、翌年の第29回大会で「JOC・JVAカップ」に選ばれた男子の大塚達宣、女子の石川真佑は、それぞれ洛南高(京都)、下北沢成徳高(東京)という名門校の2年生エースとして活躍し、春高にやってくる。
将来を有望視され、JOC杯の舞台に立った選手たちの中には、高校という次のステップでも着実に成長を遂げた者がいる。そうした、選手たちの「今後」に期待と想像を膨らませながら、JOC杯のプレーを見ることは、観戦ポイントのひとつでもある。開幕が迫った今大会に出場する“金の卵”たちは、ゆくゆくは高校バレーボール界を沸かす存在となりうるのだ。
“金の卵”が集まる大舞台、今大会の注目選手は?
福井県選抜の林雅裕は、夏の全中で注目を集めた 【月刊バレーボール】
男子の特徴として見られるのは、高身長で、なおかつバランスのとれた選手が見られること。神奈川県選抜の榎本航己(岡本中)は身長191センチで、打点の高いスパイクやジャンプサーブが魅力。レシーブにも積極的に励み、練習の成果を発揮する。福井県選抜の林雅裕(鯖江中/身長184センチ)は、今年の全中でチームを全国ベスト4に導き、ハイレベルなパフォーマンスを披露した。榎本や林は、当時2年生ながら昨年のJOC杯に選ばれた経歴を持ち、今大会ではさらにパワーアップした姿を見せてくれるはず。
ほかにも、今年の全中で優秀選手に選ばれた、北海道選抜の咄下呼也太(はなした・こやた、江別中央中/身長183センチ)、愛媛県選抜の花村和哉(雄新中/身長185センチ)などは、10月に行われた全日本中学生選抜強化一次合宿にも参加し、この世代でも注目を集める選手だ。
また、新潟県選抜で主将を務める北村宏樹(金井中)は身長169センチながら、最高到達点は3メートルに達する。9月に行われた全国ヤングバレーボールクラブ男女優勝大会(クラブチームの全国大会)でも見られたその跳躍力と、卓越したリーダーシップを、JOC杯という大舞台でも発揮してほしい。
ちなみに、今大会の出場選手中、最も身長が高いのは、香川県選抜の牧大晃(まき・ひろあき、香東中)で、なんと205センチ。まだ2年生というのだから驚きだ。
一方、女子も可能性にあふれた存在がずらりと並ぶ。夏の全中で上位の成績を挙げた学校からは、大阪北選抜の川上良江(金蘭会中/身長173センチ)や、東京都選抜の小山愛実(共栄学園/身長176センチ)が参加し、彼女たちは得点能力の高さが光る。2年生ながら昨年のJOC杯でも岡山県選抜に入り、全日本中学生選抜の海外遠征も経験した周田夏紀(就実中/身長176センチ)や、162センチの身長から最高到達点が295センチに達する福岡県選抜の室岡莉乃(上毛中)も、そのパフォーマンスが見逃せない。
女子の出場選手では、岩手県選抜の平ヴィヴィアンチディンマ(湯本中/身長184センチ)が気になるところ。昨年、2年生でJOC杯に出場し、「優秀選手」を受賞した経歴を持つ。今年度は、全日本中学生選抜合宿への参加や、全国ヤングバレーボールクラブ男女優勝大会への出場を果たし、経験を積み重ねた。指導者から「真面目で意欲的」と評価される、その真摯(しんし)な姿勢で、今後さらなる成長を遂げるはずだ。
JOC杯は、“金の卵”が集まる大舞台。ここでは挙げきれなかった選手たちはもちろん、大会本番であっと驚くようなプレーを見せる“新星”も登場することだろう。将来のバレーボール界を担う、ヒーローとヒロインの誕生に期待したい。
(坂口功将/月刊バレーボール)