勢力図の変化を予感させた福島予選決勝 2人の監督が抱く復興への思いと競争心

安藤隆人
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尚志と帝京安積の監督が立ち上げた「復興祈念大会」

選手権の県予選決勝で対戦した尚志(赤)と帝京安積(黄)。両校の指揮官は共通の思いを抱き、ある大会を主催している 【安藤隆人】

 今年8月、福島県郡山市を中心にあるフェスティバルが行われた。福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会(以下、復興祈念大会)。2011年3月11日に発生した東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県。その翌年から福島のサッカーを盛り上げ、福島県にスポーツで元気を取り戻したい。そんな一心で立ち上がったフェスティバルだ。

 このフェスティバル開催の中心人物となったのが、尚志高校サッカー部の仲村浩二監督と帝京安積高校サッカー部の小田晃監督だ。同じ郡山市内にある両校には人工芝グラウンドがあり、グラウンド提供と運営、設営などの作業を行い、そしてチームとしても参加する形で全国各地から強豪校、Jユースを招待した。

「東日本大震災によって福島県の状況は一変してしまった。他県から福島に人が来なくなってしまったんです。でも、僕らはここに住んでいるし、活気がなくなっていくのを目の当たりにして『このままではいけない』と思った。せめてサッカーを通じて、いろいろな地域から福島に来てもらって、チーム強化だけでなく、地元との交流も図って、福島に活気を取り戻したかった」

 こう語る仲村監督が自らの人脈などを駆使してチームを集めた。そこに小田監督も賛同し、2人でこのフェスティバルを発足させ、発展させる決意を固めた。

「福島県と言えば尚志が全国でも名の知れた存在として君臨している。僕らは尚志と比べたらまだまだですが、一緒になって郡山を、福島を盛り上げて、同時に僕らもレベルアップして福島のサッカーを活気づけたいという思いもありました」(小田監督)

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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