キタサン落鉄に泣く…武豊「これも競馬」
同世代シュヴァルグラン遅咲きのJC制覇

オーナーは大魔神こと佐々木主浩氏

5番人気シュヴァルグラン(中・白帽)がキタサンブラック(右・黒帽)、レイデオロ(左・白帽)を撃破しジャパンカップ制覇
5番人気シュヴァルグラン(中・白帽)がキタサンブラック(右・黒帽)、レイデオロ(左・白帽)を撃破しジャパンカップ制覇【写真:中原義史】

 日本のトップホースと世界の強豪が激突するJRA秋の大一番、第37回ジャパンカップが26日、東京2400メートル芝を舞台に争われ、ヒュー・ボウマン騎乗の5番人気シュヴァルグラン(牡5=栗東・友道厩舎、父ハーツクライ)が優勝。好位4番手から馬場の真ん中を力強く突き抜け、初のGIビッグタイトルを手中にした。良馬場の勝ちタイムは2分23秒7。


 元メジャーリーガーの大魔神こと佐々木主浩氏がオーナーのシュヴァルグランは、今回の勝利でJRA通算22戦7勝、重賞は2016年GII阪神大賞典、同年GIIアルゼンチン共和国杯に続く3勝目。オーストラリアから短期免許で来日中のボウマンは嬉しいJRA・GI初勝利となり、同馬を管理する友道康夫調教師はジャパンカップ初勝利となった。

オーナーは元メージャーリーガーで大魔神としてもおなじみ佐々木主浩氏だ(前列中央)
オーナーは元メージャーリーガーで大魔神としてもおなじみ佐々木主浩氏だ(前列中央)【写真:中原義史】

 一方、1馬身1/4差の2着にはクリストフ・ルメール騎乗の2番人気レイデオロ(牡3=美浦・藤沢和厩舎)。連覇を狙った武豊騎乗の1番人気キタサンブラック(牡5=栗東・清水久厩舎)はゴール前で粘りきれず、レイデオロからクビ差3着に敗れた。

武豊「アレッ?っていう感じがあった」

連覇ならなかった武豊騎乗のキタサンブラック、左前脚落鉄の不運が痛かった
連覇ならなかった武豊騎乗のキタサンブラック、左前脚落鉄の不運が痛かった【写真:中原義史】

 勝負事に運、不運は付き物だが、キタサンブラックにとっては“まさか”のアクシデントだった。


「今回はスタートも決まって良いレースはできたと思います。ただ、最後はもう少し突き放せるかと思ったんですが……。左前を落鉄していましたね。どこで落鉄したかは分からないですが、レースがレースだけに残念です」


 レース後にこう明かした武豊。ジョッキーが振り返った通り、天皇賞・秋のような出負けもなく、絶好のスタートで先手。「楽に行けるようなら」と好枠の2枠4番からスッとハナを取り、前半1000メートル60秒2という絶妙なペース配分でレースを支配していた。昨年の再現と、多くのファンが思っただろう。しかし、ラスト1ハロンを迎えて、いつものようなキタサンブラックの粘りがない。


「アレッ?っていう感じがあったので、レース後に『落鉄してない?』って聞いたんです。違和感というか、そんな気配を感じました。意外と伸びなかったから、落鉄しているんじゃないか……って」


 勝負の世界に“たら・れば”を持ち込んではいけないことは重々承知。武豊自身、「これも競馬です」と、キッパリと今回の敗戦を受け止めている。しかし、落鉄の多くのケースがそうであるように、今回のキタサンブラックもスタート直後の落鉄だったとしたら、あまりに不運……と思わずにはいられない。それくらい“負けて強し”の3着だった。


「改めて全部勝つのは難しいと思いましたが、有馬記念はラストランになるので、是が非でも勝って終わりたいですね。それだけの馬ですから」


 秋GI全勝とはならなかったが、武豊がすでに前を見据えているように、次は現役最後のレースとなる有馬記念だ。一昨年3着、昨年2着と、もう一歩のところで逃しているグランプリタイトル。現役最強馬の称号をさらに輝かせるためにも、ここは何としても勝って有終の美としたい。イブ決戦までのキタサンブラック引退カウントダウンは、同時に逆襲のカウントダウンとなった。

姉、妹に続く待望のビッグタイトル

キタサンと同世代のシュヴァルグランが遅咲きのGI初勝利!
キタサンと同世代のシュヴァルグランが遅咲きのGI初勝利!【写真:中原義史】

 一方、最強ホースに真っ向勝負で土をつけレースを制したのは、世代交代を狙う3歳ダービー馬・レイデオロではなく、キタサンブラックと同世代の5歳馬シュヴァルグランだった。姉ヴィルシーナ、妹ヴィブロスがGIを勝っていく中、22戦目でついにGI初勝利となった遅咲きの大器。天皇賞・秋をパスし、ジャパンカップを狙い撃ちしたローテーションが見事に吉と出た。


「この馬の適性を考えると、2000メートルでは短いと思ったんです。オーナー(佐々木主浩氏)ともジャパンカップ、有馬記念を勝ちたいという話をして、京都大賞典から4戦は厳しいから、天皇賞・秋をパスしてジャパンカップ、有馬記念に行こうとなりました」と友道調教師。昨年はアルゼンチン共和国杯から中2週の押せ押せだったが、今年は違った。春の疲れをしっかり取った上で迎えた中6週での秋2戦目。


「昨年と違って、今年は完ぺきな状態で秋の初戦を迎えることができましたね。その後も順調に来ていたので、自信を持って臨むことができました」


 サトノクラウンとの兼ね合いでジョッキーが難航したが、ここで迎えたボウマンが完ぺきな仕事をこなしてくれた。オーストラリア出身の37歳で、16/17年シーズンのオーストラリアNSW地区リーディングジョッキー。さらに、GI・15勝を含む22連勝中の名牝ウィンクスの主戦としても活躍し、世界で最もレーティングの高いG1競走100レースを対象として争われる「ロンジン・ワールドベストジョッキー」の2017年チャンピオンジョッキーにも輝いた、今一番ホットな名手だ。


「実は追い切りで初めて乗ったときは、コレといった凄さを感じたわけではないんです」と、ファーストコンタクトの印象を語ったボウマン。しかし、厩舎スタッフから「芝に乗ると馬が変わる」とアドバイスを受け、「去年のジャパンカップの映像を見て、すごい馬だと分かった。しかも、その去年よりも状態が良いということだったので、それなら!という気持ちになったんです」。

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