キタサン落鉄に泣く…武豊「これも競馬」 同世代シュヴァルグラン遅咲きのJC制覇

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キタサン徹底マーク「すべてイメージ通りに」

豪の名手ボウマンが「イメージ通り」という完ぺきな騎乗で、善戦マンだったシュヴァルグランをGIホースへと導いた 【写真:中原義史】

 さらにボウマンの気持ちを高まらせたのが、1枠1番に決まったことだった。

「チャンスのある馬にめぐり合えた上、良い枠に決まったときには密かに勝利を狙えると確信していました」

 最内からボウマンとシュヴァルグランが取った戦法は、キタサンブラックを見る形の好位4番手。「すべてイメージ通りに行きました。キタサンブラックから2、3馬身以内で付いていけたのも、この枠が功を奏したと思います」と、最強馬を徹底マークする形から、最後はジリジリと追い詰め、ついにラスト1ハロンでスナイパーのように仕留めた。

「残り400メートルではまだどうなるか分かりませんでしたが、シュヴァルグランはエネルギーのロスなく走っていましたし、2400から3200メートルまで走れるくらいスタミナのある馬。残り200メートルになって、ここからはもうキタサンブラックを抜けるという自信がありました」

日本でも流行る!? お立ち台でも「シーズアップル」のマークを指で作ってアピール 【写真:中原義史】

 2017年の“世界ナンバーワンジョッキー”にふさわしい好騎乗で、善戦マンだったシュヴァルグランをGIホースへと導いたボウマン。「テニスやゴルフとはルールが違うから、自分が世界一のジョッキーとは思っていない」と謙遜したが、ゴール後には「日本でも流行らせたいと思っているんです(笑)」という“シーズアップル”(She's apples=「全て順調」という意味で使われるオーストラリア英語の俗語)のマークを指で作ってアピールするお茶目な面も見せた。日本ではまだ3回目の短期免許での騎乗だが、これで日本の競馬ファンにもその名前がしっかりと刻まれたに違いない。

次走は有馬記念、キタサンとの再戦の行方は?

次走は有馬記念、再びキタサンブラックとの戦いに注目だ 【写真:中原義史】

 一躍トップホースの仲間入りとなったシュヴァルグランの次なる目標は有馬記念。休み明け3戦目となることから「一番良い状態で出走できると思います。今回以上に楽しみにしています」と、友道調教師はGI連勝へ自信を隠さない。

 ちなみに、シュヴァルグランの母ハルーワスウィートは、友道調教師がトレーナーとなって初めて預託馬に決まった記念すべき第1号であり、現役時代には5勝も挙げて活躍した。それだけでも思い出深いのに、母となってすでにGI馬を2頭を輩出し、今回待望の牡馬GI馬を誕生させた。「今のウチの厩舎があるのはハルーワスウィートのおかげです」という師の思い入れの強さもまた、シュヴァルグランの成長力につながっているのかもしれない。

 有馬記念で再びキタサンブラックに引導を渡し、新チャンピオンとして君臨するのか。1カ月後の再戦が今から待ち遠しい。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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