【DDT】竹下が“象徴”ディーノ退け新記録V9 佐々木はHARASHIMAに勝利もジェラシー爆発

高木裕美

「AbemaTV」など3チャンネルで生中継

総選挙1位を獲得した“DDTのアイコン”ディーノ(左)を退け、連続防衛記録更新となるV9を達成した竹下(右) 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 22日のDDTプロレス「DDT Special 2017」東京・後楽園ホール大会では、今年の「DDTドラマティック総選挙2017」の上位20選手&ゲスト選手が出場し、超満員となる1433人を動員した。

 今年、旗揚げ20周年を迎えたDDTは、今年の9月1日付で発行済み株式の100%をIT企業のサイバーエージェントに譲渡し、サイバーエージェントグループに加盟。この日の大会は前回の9.24後楽園大会に続き、公式動画配信サービス「DDTユニバース」、プロレス・格闘技専門チャンネル「サムライTV」に加え、インターネットTVの「AbemaTV」でも生放送され、大勢の人が無料で視聴する機会を得た。

 かつて、プロレスといえば、毎週のようにTV中継され、ゴールデンタイムの花形番組であった。戦後の力道山全盛期は街頭プロレスに街中の人々が熱狂。新日本プロレスは「ワールドプロレスリング」として金曜夜8時に、全日本プロレスは「全日本プロレス中継」として土曜日の夕方や夜に、全日本女子プロレスは「女子プロレス」として、月曜夜7時に放送され、数々の名実況やスター選手を生み出した。

 昭和プロレスファンの間でいまも語り草となっている、新日本の1984年2.3北海道・札幌中島体育センターでの「雪の札幌」テロ事件も、生中継だったからこそ、お茶の間のファンに大いなる衝撃を与えた。当初、この日はWWFインターナショナルヘビー級王座を賭けて、藤波辰巳(当時)vs.長州力による“名勝負数え歌”が繰り広げられる予定であったが、藤原喜明が入場中の長州を襲撃。何が起きたか分からず混乱する古館伊知郎アナウンサーの実況と、血まみれになった長州の殺気立った表情は、会場にいたファンよりも、TV中継を見ていた者により強いインパクトを与えることとなった。

 その後、各団体ともゴールデンタイムのレギュラー放送は撤退したが、00年4月7日には新日本の東京ドーム大会が「橋本真也34歳 小川直也に負けたら即引退スペシャル」として放送され、約15%という高視聴率をマーク。この試合に敗れ、実際に引退した橋本さんと、復帰を願う折り鶴兄弟との絆も、TVを通じて報じられた。

「無料で見られるメディア」として、TVよりもインターネット中継や動画配信が主流となりつつある今、「AbemaTV」での生中継は、強力な武器である。かつて、TVを見て初代タイガーマスクに憧れたちびっこ、クラッシュギャルズに憧れた乙女たちが、プロレスの門をたたいたように、デジタルネイティブ世代から新たなプロレスファン、プロレスラーが生まれるきっかけを、DDTが作り出すかもしれない。

「DDTのアイコン」ディーノと竹下の因縁

この日も竹下のトラウマを掘り起こすかのような攻撃を加えるディーノ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントのKO−D無差別級選手権試合では、王者・竹下幸之介<総選挙7位>が、「DDTドラマティック総選挙2017」第1位の男色ディーノの挑戦を退け、9度目の防衛に成功。入江茂弘のV8を抜き、歴代最多防衛記録を樹立した。

 両者の因縁は11年前までさかのぼる。

 幼少期から大のプロレスファンだった竹下は、小学5年生の時に地元・大阪のアゼリア大正ホールでDDTを観戦。その再、入場してきたディーノに大切なファーストキスを奪われた。幼心にトラウマを負いながらも、DDTの門をたたき、高校3年生の12年にプロレスデビュー。現在は日本体育大に在学しながらも、22歳で団体を背負う立場となった。

 一方、ディーノは竹下の年齢と同じ22年前、大阪学院大で学生プロレスに加入し、その時から現在の「男色ディーノ」のリングネーム、キャラクターを確立。その後、DDTに入団し、ゲイレスラーとしての地位を確立すると、09年12月には新日本プロレス主催の「SUPER J−CUP」に出場。1回戦では実力者・外道に対し、お株を奪うゲイ道クラッチで勝利を挙げるも、そのファイトスタイルが“鬼軍曹”山本小鉄さんの逆鱗(げきりん)に触れてしまうが、ディーノ自身は「私のやり方でやるしかない。私のような生き方も許されると思う」と、真っ向から反論してみせた。

 10年から始まったDDT総選挙では、全レスラーの中で唯一、毎年5位以内をキープしており、10年、13年、17年には1位を獲得。自ら「DDTのアイコン(象徴)」を名乗り、8月からはDDTの全権を掌握してプロデューサーに就任。今年の総選挙では、「安心してください。DDTには男色ディーノがいます」とキッパリと断言するなど、まさにDDT=ディーノといえる存在だ。

悔しさをバネにKO−D王者を邁進

竹下もリップロックで呼応。弱点を払拭し、防衛に成功した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 大「ディーノ」コールで、ファンの「ベルトを獲ってほしい」という“民意”を背負ったディーノは、男色ナイトメア、ファイト一発、股間をつかんでの男色スープレックス、バックドロップ、男色ドライバーなどの大技を繰り出すと、10分過ぎにはゲイ道クラッチであわやという場面を作り出すが、竹下もまさかのゲイ道クラッチで対抗。ならばとディーノは垂直落下式ブレーンバスターから、竹下の両手をつかんで股間をあてがうホモゴェ、股間を顔面に押し付けたままロックするストラングルホールドPといった、おぞましい男色技で勝負をかける。

 だが、竹下はこの最大のピンチを、ディーノの股間にかみ付くという捨て身の攻撃で脱出すると、ディーノのローリング式ゲイ道クラッチ、レインメーカー式リップロック、リバースえびぞりジャンプ、男色デストロイをカウント2でクリア。ディーノのリップロックに竹下もリップロックで呼応し、互いにリング上で唇を重ね合うと、さらに、ジャーマンスープレックスから、アンダータイツ姿になってのクロスアーム式ジャーマンスープレックスで勝負を決めた。

 試合後、竹下が「僕が越えなきゃいけない壁、それは男色ディーノでした。10年前、僕のファーストキスを奪ってくれて、ありがとうございました。あの時があったから、今こうしてDDTのベルトを巻いています」と感謝をすると、ディーノは涙で顔をグシャグシャにしながらも、投票してくれたファンに手を合わせて謝罪。観客も大「ディーノ」コールでその健闘を称えた。

「僕はまだまだ力不足かもしれませんが、『DDTには竹下幸之介がいる』と言われるように頑張っていきたい」とディーノへのライバル心をムキ出しにした竹下は、次回のV10戦が12.24後楽園でのコルト“Boom Boom”カバナ戦に決定したと聞いても、「ディーノに勝っている以上、怖いものは無い」とキッパリ。「総選挙7位も先週の関東ボディービル大会での12位も、僕自身は悔しい。これからは、この悔しい気持ちを前面に出していく」と、チャンピオンであろうとも、感情ムキ出しでどん欲に突き進んでいくと宣言した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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