【DDT】竹下が“象徴”ディーノ退け新記録V9 佐々木はHARASHIMAに勝利もジェラシー爆発

高木裕美

2位・HARASHIMAは2冠ならず

3メートルのラダーからのダイビングエルボードロップでHARASHIMAをしとめた佐々木大輔 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 TLCマッチ形式で争われたセミファイナルのDDT EXTREME級選手権試合は、王者・佐々木大輔<総選挙4位>が、総選挙第2位のHARASHIMAを下し、7度目の防衛に成功した。

 佐々木は、総選挙の結果こそベスト3入りを逃したものの、自身が率いるユニット「DAMNATION」はユニット部門で第1位を獲得。12.30後楽園でのプロデュース興行開催権を得た。一方、HARASHIMAは2位の特典として、自身が選ぶタイトルへの挑戦権を与えられ、同王座を指名。プロレスリング・ノアの丸藤正道と共に保持するKO−Dタッグ王座との2冠王を狙っていた。

 ハードコアルールに精通する佐々木に対し、HARASHIMAは序盤からイス攻撃を仕掛けるも、プランチャは佐々木に傘で迎撃され、さらには場外戦ではDAMNATIONのセコンドたちが加勢。事実上、1対3のハンディキャップ戦を強いられる。だが、HARASHIMAも10分過ぎ、場外に設置されたテーブルに佐々木を寝かせ、場外へのスワンダイブ式ボディープレスを見舞うと、ラダーを使ったキックを繰り出すが、蒼魔刀は佐々木にイスでブロックされ、万事休す。佐々木は2発目のスタンディング蒼魔刀をかわし、テーブルへの自爆を誘うと、さらに、テーブル上への雪崩式ペディグリーを敢行。さらに、リング上に設置された高さ3メートル以上の超巨大ラダーから、テーブル上のHARASHIMAにダイビングエルボードロップ を突き刺し、堂々の3カウントをもぎ取った。

 試合後も佐々木は自身より得票数の多かったHARASHIMAへのジェラシーを隠さず、セコンドとともにリンチ。だが、この暴挙に業を煮やした高尾蒼馬が佐々木を背後からイスでぶん殴ると、なおもセコンドを振り切って襲い掛かるなどヒートアップ。両者の遺恨が勃発した。

石井は全日本のエース・諏訪魔に挑むも玉砕

全日本のエース・諏訪魔(上)に挑んだ全日本マニアの石井(下)だが、見事に玉砕 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第4試合では、スペシャルシングルマッチとして、石井慧介<総選挙13位>が全日本プロレスの前三冠ヘビー級王者・諏訪魔との一騎打ちに臨んだ。

 全日本の四天王プロレスに心酔した石井は、かつて07年に全日本に入門し、カズ・ハヤシの付き人を務めていたが、デビュー前に逃げ出し、練習生のまま退団。その当時、諏訪魔はすでにトップレスラーとして頭角を現しており、ヒールユニット「ブードゥー・マーダーズ」の一員として、圧倒的な存在感を示していた。

 その当時の「強くて、怖い」諏訪魔を見ていた石井は、9月27日に東京・新宿バルト9で開催された総選挙開票イベントでランクインを果たすや、その場で「諏訪魔さんと戦いたい」と直訴。その願いがかない、初のシングル戦が実現することになった。

 前日夜に全日本・横浜大会でジョー・ドーリングとの三冠戦を行ったばかりの諏訪魔だが、石井の力いっぱいのチョップ連打を仁王立ちで受け止めると、ダブルチョップ一発であっさりとダウンを奪う。石井は抱え込み式バックドロップからのラストライドを切り返し、延髄斬り、顔面へのヒザ蹴り、オーバーヘッドダブルニー、ジャーマンスープレックスと畳み掛けるも、諏訪魔がハーフネルソンスープレックスからの投げっぱなしラストライドで完勝。全日本エースとしての実力を見せ付けた。

平田は“マグナム級”に空気を読めず……

空気を読まない平田に周りがビクビク。最後はやはり平田が撃沈し、事なきを得た 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第2試合では、高尾蒼馬<総選挙6位>&大石真翔<総選挙10位>&ウルティモ・ドラゴン組vs.大鷲透<総選挙14位>&大家健<総選挙16位>&平田一喜<総選挙20位>組という、コアなファンならば注目せずにはいられないカードが実現した。

“究極龍”ウルティモといえば、世界的レスラーでありながら、メキシコにプロレスラー養成学校「闘龍門」を設立し、“レインメーカー”オカダ・カズチカ(新日本プロレス)ら数々のレスラーを育てた名トレーナーでもある。大鷲と大家はほぼ同時期にメキシコ闘龍門に入門し、ウルティモ校長から直接指導を受けており、大鷲は「T2P」でデビューしたが、大家はデビュー前に退団。また、平田は闘龍門から派生した「DRAGON GATE」の練習生だったことがあり、いわばウルティモの“孫弟子”的な存在だ。また、高尾は学生プロレス時代、ウルティモの教え子であった某レスラー「C」の名前を「B」にもじったリングネームを使用していた。

 ウルティモの入場後、平田がいまや我が物顔で自身の入場テーマ曲に使用している「東京に行きたくなる曲」が流れ出すが、かつてこの曲の代名詞であったレスラーとウルティモの浅からぬ関係を知る選手たちは大慌て。とりあえず大石がマスクの上からウルティモの耳をふさぎ、事なきを得る。

 だが、その後も平田は空気を読まず、せっかく大鷲が師匠にルチャリブレの技で“恩返し”をしようとしたところ、平田が「元神戸として、もっとウルティモと触れてみたい」と、微妙に大人の配慮を施しながら対戦を志願。ウルティモがこれに応じるも、次の瞬間、いきなり手刀を見舞う平田無双で失神させ、敵味方関係なくダウンさせたところで、おもむろに平田GO!メガネを装着して、心行くまで「東京に行きたくなる曲」でダンス。

 だが、幸いにも、ウルティモは失神しており、このリング上での惨劇には気づかずにすんだ。満足げに踊りきった平田だが、直後に大鷲のスタナー、ウルティモのソバット、高尾のジントニックの猛ラッシュに撃沈。とはいえ、究極龍に対し、「マグナム砲」ほどのインパクトには及ばないものの、「豆鉄砲」ぐらいの衝撃は与えられたかもしれない。

2/2ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント